抄録
非毒性とは異なる高分子材料の生体適合性を、力学的整合性、非カプセル化性、組織接着性、非異物性の四つに細分類した。力学的整合性は材料の弾性率が生体組織の弾性率にほぼ等しくて生体組織に機械的ストレスを与えないという適合性、非カプセル化性は材料表面を包み込むコラーゲン繊維性結合組織をできる限り薄くするという適合性、組織接着性は分子的にも材料表面に生体組織が空隙なく接着するという適合性、非異物性は材料を生体ができるだけ異物であると認識しないような適合性である。これらのそれぞれについて簡単に説明し、その実現化に対する予測を行なった。できる限り力学的整合性の高い材料の表面をコーティング法ではなく、化学反応的に改質することによって生体適合性高分子材料を合成できることを、われわれの実験結果に基づいて示した。