人工臓器
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17 巻, 2 号
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  • 江口 昭治
    1988 年 17 巻 2 号 p. 401
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 阿久津 哲造
    1988 年 17 巻 2 号 p. 403-406
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • Taketoshi KISHIMOTO, Seiji YAMAGAMI, Masanobu MAEKAWA
    1988 年 17 巻 2 号 p. 407-412
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    The effect of hemodialysis (HD) using the cuproammonium processing membrane (CAPM) on the host immune system was studied in maintenance HD patients. Plasma C3a and C5a concentrations at the inlet and outlet of the dialyzer were measured during HD. Anaphylatoxins such as C3a and C5a were generated in the blood through the CAPM dialyzer, and the amount of anaphylatoxins generated correlated with membrane area. The effect of the Limulus test-positive substance, which was assumed to be β-glucan, on interleukin-1 (IL-1) and β2-microglobulin (β2-M) production activity of peripheral blood monocytes from HD patients on the CAPM and polymethylmetacrylate membrane (PMMA) dialyzers was also studied. IL-1 was bioassayed using C3H/HeJ mouse thymocytes. β2-M was radioimmunoassayed. IL-1 production activity of the monocytes from patients on CAPM was significantly higher than that of patients on PMMA and healthy volunteers. Moreover, β-glucan stimulated IL-1 production activity of the monocytes. However, inactivated serum from long-term HD patients inhibited IL-1 production activity induced by LPS and β-glucan. The washing solution obtained from the CAPM dialyzer and β-glucan stimulated β2-M production activity of the monocytes in vitro and in vivo. β2-M production activity of the monocytes from HD patients was significantly lower compared to that of healthy volunteers, but it was significantly higher for patients on CAPM than for those on PMMA. The intravenous injection of the washing solution from the CAPM dialyzer also increased β2-M concentration in the monocytes for all groups, but it was significantly higher for healthy volunteers than for patients on CAPM and PMMA. These findings suggest that bio-incompatibility of the dialyzer membranes and eluted material lead to not only intradialytic symptoms but also chronic inflammatory syndrome.
  • 梅香家 鎮, 西村 隆雄, 黒田 徹, 加藤 等
    1988 年 17 巻 2 号 p. 413-416
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    繊維材料への白血球の粘着特性について研究した結果、繊維径が白血球の粘着性に大きく影響し、特に3μm以下の極細繊維が著しく高い粘着特性を示すこと、および通常の綿状の繊維塊に比べて不繊布形状が圧力損失が著しく小さく、高速で血液処理が可能であることを見出した。
    この技術をLymphocytapheresisに応用し、体外循環用白血球除去フィルター“Cellsorba”と本フィルターを用いたFiltration Lymphocytapheresis法を開発した。
    臨床評価の結果、従来の遠心分離法に比較して、約2倍の効率でリンパ球が除去できることが判明し、安全にかつ簡便にLymphocytapheresisが施行されることを確認した。
    今後、本法はリンパ球の選択的除去性の改良を含めて、免疫調節の有力な手段として期待される。
  • 船越 陽一, 阿岸 鉄三, 藤田 省吾, 本田 宏, 高橋 満彦, 山形 桂仁, 太田 和夫, 吉岡 宏, 福井 清
    1988 年 17 巻 2 号 p. 417-421
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    胸管ドレナージ法(Thoracic Duct Drainage: TDD)は, 自己免疫疾患に対する治療あるいは腎移植における免疫抑制法の一つとして臨床適用が行われ, その有用性も報告されている。しかし従来のリンパ球除去の方法は, 遠心分離法あるいは凍結解凍の繰り返しによるリンパ球の死滅, といった方法であり, この方法の煩雑さのために適用が普及しなかったと考えられる。そこでわれわれは, 雑種犬を用いた胸管ドレナージ法においてリンパ球除去にフィルターを用いるという新たなシステム(Continuous TDD)を考案しその安全性, 有用性を報告した(第24回人工臓器学会)。次に各種治療によっても軽快しない, 慢性関節リウマチ患者に免疫療法としての胸管ドレナージを局麻下に施行した。この結果, リンパ液流出量は50~2000ml/dayと多量に及び, このためCPC-11FCフィルターでは処理しきれずプラズマセパレーターあるいは凍結解凍によりリンパ球を除去した。除去リンパ球数は0.1~3.0×109/dayに達し, この結果T-cell系ではLeu4, Leu3aに低下を認め, Leu3a/2aは最大0.56まで低下した。B-cell系ではLeu16の低下を認めた。末梢血中の白血球, リンパ球数の変化に一定した傾向は認められなかった。免疫グロブリン系ではIgG, IgAに変化は認められなかったが, IgMは減少した。これらの変化に伴い全例に, 関節痛, 手足のこわばりの劇的な改善が認められた。慢性関節リウマチへの治療の免疫学アプローチとしては, 血漿交換療法, 末梢血よりフィルターまたはカラムを用いてのリンパ球除去という方法が行われているが, これらは何らかの免疫担当体を除去することを目的としている。また最近の報告ではリンパ球除去こそが免疫学的にはリウマチに対する治療であるとするものもある。われわれの方法は手技的困難さは認めるものの, 高いリンパ球除去効率より, 難治性慢性関節リウマチ患者に有効な方法と考えられる。
  • 山崎 善弥, 金井 福栄, 平石 守, 出月 康夫, 井上 昇, 山脇 直邨, 稲垣 健二, 津田 信明
    1988 年 17 巻 2 号 p. 422-425
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    われわれの開発して来た免疫吸着材IM-PHおよびIM-TRの基礎的研究および臨床的評価を中心に一般的な免疫吸着法について言及する。
    IM-PH, IM-TRの構造は, いずれもポリビニールアルコールゲルの担体に, リガンドとして, 前者はフェニルアラニン, 役者はトリプトファンを固定化したアフィニィティ吸着材である。IM-PHとIM-TRはProtein A sepharose CL4Bより免疫複合体を多く吸着することが基礎的バッチ法吸着比較実験で確認され, 選択性も良好であった。IM-TRは抗アセチルコリンレセプター抗体を高率に吸着し, 重症筋無力症に有効であった。慢性関節リウマチ, 全身エリテーマトーデスへの臨床応用において血漿交換に準ずる効果が得られた。免疫吸着法が血漿交換にとって代り, いろいろな免疫疾患に応用され, その治療ならびに病態生理の解明に有用であることが期待される。
  • ―とくに慢性関節リウマチ患者について―
    當間 重人, 吉野谷 定美
    1988 年 17 巻 2 号 p. 426-429
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ患者を対象として, 血漿交換療法と免疫調節剤のひとつであるシクロスポリンAの免疫機能におよぼす影響を比較検討した。血漿交換を施行した5例の検討では, 末梢血リンパ球サブセットに変化はなかったが, in vitroにおけるT. Bリンパ球coculture系で, IgM-RF産生, IgM-RF/IgM産生比は著明に減少, いわゆるImmune Productsの除去のみならず, 何らかの液性因子除去によりTリンパ球のSuppressor機能の回復, あるいはSuppressor signalに対するBリンパ球の応答能の回復をもたらす可能性が示唆された。シクロスポリンAを投与した23症例の検討では, HLA-DR抗原陽性Tリンパ球, すなわち活性化Tリンパ球サブセットの減少が認められ, リンパ球サブセットの変化を介した免疫機能への影響が示唆された。
  • 阪上 賢一, 宮崎 雅史, 松岡 順治, 塩崎 滋弘, 内田 晋, 藤原 俊義, 斎藤 信也, 折田 薫三
    1988 年 17 巻 2 号 p. 430-433
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血漿交換療法(PE)や二重濾過膜血漿分離交換法(DFPP)といった人工臓器的手法を用いて, 進行癌患者血清中に存在する各種の免疫抑制因子を効率よく選択的に除去できれば, 担癌生体の低下した腫瘍監視機構の是正に役立ち, さらに従来の免疫化学療法の効果を増強しうることが期待できる。現在までのところ, DFPPによって, PHA抑制因子, NK活性抑制因子は有効に除去され, 従来のDFPP単独では除去出来なかったアルブミン以下の低分子蛋白, IAPα-AT, IL-2 inhibitorなどは100Åの多孔性ガラスビーズ吸着体で50%近い除去効果をうることが出来る。消化器進行癌28例への臨床応用では14例(50%)にKarnofsky判定でO-Aをえており, 今後は, 手術的治療の限界を越えた進行癌や再発癌患者にDFPP施行と共に強力な免疫化学療法の併用が有効と思われる。
  • ~免疫反応ならびに腎病変への影響~
    佐中 孜, 若井 幸子, 西川 恵, 阿岸 鉄三, 杉野 信博
    1988 年 17 巻 2 号 p. 434-437
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血漿交換療法(PEx)の膠原病、特にループス腎炎における免疫反応および腎の免疫組織学的な病変への影響について明らかにするために、追跡調査が可能な23名のPEx実施ループス腎炎患者を対象として、1)リンパ球サブセット、2)免疫複合体(IC)、3)IgG、4)血清補体価、5)抗核抗体、6)抗ds-DNA抗体、7)腎組織所見などの面からみた本療法の効果について検討した。
    PExによってLeu4、Leu2aの有意な上昇、IC、IgG、抗核抗体、抗ds-DNA抗体の有意な低下あるいは血清補体価の有意な改善傾向が得られることが判明した。腎組織の光顕的観察でも重症度の軽症化が認められたが、電顕的な観察では、PExの前後で免疫沈着物に明らかな変化を見い出せなかった。以上より、PExは、ループス腎炎における免疫異常の改善に有用であるが、これと別の機序によって腎機能低下、蛋白尿という効果をもたらす可能性も示唆された。
  • 阿岸 鉄三, 前川 正信
    1988 年 17 巻 2 号 p. 438
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • Y. NOSE
    1988 年 17 巻 2 号 p. 439-441
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Recently it is becoming more and more realistic to have a totally implantable cardiac prosthesis. Since this system involves a power system, an implantable feedback sensor and a mechanical driving system, it is easy to predict the needed technologies for this and other implantable artificial organs. 1. Power delivery: (i) Continuous delivery of up to 50 watts is possible in a transcutaneous fashion for over 5 years. (ii) Implantable batteries that may be recharged up to 1000 times are feasible. (iii) Management of heat packages up to 1, 000°C are possible. (iv) Implantable packages of the above mentioned systems are already available. 2. Implantable sensor: (i) Implantable intrinsic sensors such as position sensor are developed and have proven to be feasible. (ii) Reliable implantable extrinsic sensors such as glucose or oxygen sensors are not available to guarantee a continuous reliable operation of implantable systems. 3. Diagnostic system for a totally implantable system: (i) Transcutaneous transmission of diagnostic signal is feasible. (ii) Either direct or telemetrized diagnostic signal processing is feasible. 4. Implantable artificial organ system: (i) Mechanical or hydraulic system have already been proven feasible. (ii) Feasibility of chemical systems are currently difficult to establish. Thus, if only electro-mechanical or electro-hydraulic systems are involved, a totally implantable artificial organ which can function up to 2 years is possible. However, in order to develop any metabolic regulating artificial organs, there are many technical problems which still exist before for possible clinical implantation. Unconventional approaches are necessary for this type of metabolic implantable artificial organs.
  • 井街 宏, 阿部 裕輔
    1988 年 17 巻 2 号 p. 442-445
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工臓器を完全に体内に埋込むことは人工臓器開発の究極の目的であるが, その際もっとも大きな障害の一つとなっているのがエネルギー源の問題である。ことに人工心臓のように大きなエネルギーを必要とする人工臓器ではこの問題はいっそう深刻である。体内に埋込んだ人工臓器にエネルギーを供給する方法としては, (1)体内にエネルギー源を置く, (2)体外にエネルギー源を置き体内に伝送するという二つの方式が考えられる。現在開発されているエネルギー源には, 一次電池, 二次電池, 太陽電池, 原子力電池, 燃料電池などがあるが, 原子力電池以外は人工臓器の要求するエネルギーに対してエネルギー密度が低すぎて長期間の埋込は不可能である。原子力電池はその点では十分な条件を備えているが, その使用に対して社会的同意を得ることは将来とも難しい。そこで, 体外にエネルギー源を置き経皮的に体内にエネルギーを伝送するシステムが開発されつつある。
  • 筏 義人
    1988 年 17 巻 2 号 p. 446-449
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    非毒性とは異なる高分子材料の生体適合性を、力学的整合性、非カプセル化性、組織接着性、非異物性の四つに細分類した。力学的整合性は材料の弾性率が生体組織の弾性率にほぼ等しくて生体組織に機械的ストレスを与えないという適合性、非カプセル化性は材料表面を包み込むコラーゲン繊維性結合組織をできる限り薄くするという適合性、組織接着性は分子的にも材料表面に生体組織が空隙なく接着するという適合性、非異物性は材料を生体ができるだけ異物であると認識しないような適合性である。これらのそれぞれについて簡単に説明し、その実現化に対する予測を行なった。できる限り力学的整合性の高い材料の表面をコーティング法ではなく、化学反応的に改質することによって生体適合性高分子材料を合成できることを、われわれの実験結果に基づいて示した。
  • 大海 武晴
    1988 年 17 巻 2 号 p. 450-453
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    過去に経験のない全く新しい製品を開発しようとする時、“その物がどんな環境でどんな使われ方をし、どんな機能を果たせば良いか”を予め知る事が極めて重要である。これらが良くわからない場合はおよその見当をつけて、使用環境条件の予測のもとに製品のスペツクを仮設定する。これに基づいて設計しプロトモデルを製作するが、この試作品が条件に満足するかどうかは、機能・性能試験および種々の環境信頼性試験にて確認する。満足した結果が得られない場合は試作品の改良が必要だが同時に使用環境条件とスペツクとの適合性のチエツクや見直しも大切である。最終的に満足すべき物が出来たかどうかを決定づける基になるのは、開発目標となる開発品の要求スペックである。植え込み型人工心臓であればなおさらのこと、エンジニアだけでは決められない。医学と工学の接点が必要であり、専門の先生方のコンセンサスの得られたスペツクを作る必要がある。
  • 大坪 修, 那須野 修一, 鈴木 好夫
    1988 年 17 巻 2 号 p. 454-456
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体内植え込み型人工腎臓開発の問題点は生体腎の持つ巧みな濾過、再吸収機能をどのようにシュミレートするかである。この糸球体機能を濾過器に、再吸収機能を行う尿細管の代行を腸管を用いた、いわばハイブリッド型を研究している。結腸では水分、Naは再吸収するが、尿素窒素、クレアチニン、Kは再吸収しないという特質があり尿細管と同じ機能を有している。イヌでの実験では濾過器により得られた濾液を結腸にいれることにより体内埋め込み型人工腎臓が可能であるデーターを得ている。
    問題点は、長期体内植え込み可能な生体材料の開発であるが、濾過機能が低下しないこと、生体適合性の高い濾過膜が要求される。生体適合性に関してはC3a, β-TGなどにより判定できる。体内植え込み型人工腎臓は理論的には可能であるが、生体適合性が高く、長期使用でも濾過効率が低下しない生体材料の開発が必要である。
  • 河盛 隆造, 山崎 義光, 七里 元亮
    1988 年 17 巻 2 号 p. 457-460
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    治療制御システムとしてのベッドサイド型人工膵島、さらに携帯型人工膵島が開発、臨床応用されるに至った。これらは単に治療機器としてのみならず、病態追究へのresearch toolとして有用である。しかし、人工膵島開発の究極の目的である、“糖尿病患者の血糖応答反応を健常人と同様に制御し、ひいては糖尿病性血管合併症の発症・進展阻止をはかる”ためには、長期にわたる臨床応用が必要であり、したがって植え込み型システムの完成が強く求められる。さらに、人工膵島は生命を救うという一義的なものではなく、“機能的寿命の延長”を追究する二義的なものであることから、血糖制御状況がインスリン注射療法にはるかに優るものでなければならない。
    植え込み型人工膵島完成への重要技術要素として、計測部門、情報処理・制御部門、治療操作部門の各々で、実現に向けて多くの努力がなされているが、今後解決すべき問題点も未だ多く残されている。
  • 林 紘三郎
    1988 年 17 巻 2 号 p. 461-464
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    完全植え込み型の人工心臓を開発するにあたって考慮しなければならない技術的要素としては, 材料, ポンプ, アクチュエータ, エネルギ源, センサ, 制御, バックアップシステムなどがあげられる。これらのうち最も重要で, 難しい差し当りの問題点は, ポンプ材料, アクチュエータ, エネルギ源に関連するものである。全く血栓を形成することなく, 耐久性に優れ, 機械的性質が長期間安定であるような材料はまだ見当らない。また, 体内に埋め込むことのできる程の小型で, しかも高出力が期待でき, 効率が高く, 信頼性のあるアクチュエータの設計も容易ではない。さらに、小型でありながら大容量のエネルギ源の開発は遅れており, 次善の策として経皮的にエネルギを体外から伝送する方式が考えられ, 研究も進められているが, この場合でもある程度のエネルギを蓄積しておく必要があるが, 未だ実用できる程度のものはない。
  • 能勢 之彦, 七里 元亮
    1988 年 17 巻 2 号 p. 465
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 長田 義仁, 岸 良一, 梅沢 佳世, 安永 秀計, 前川 幸子
    1988 年 17 巻 2 号 p. 466-469
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ゲルは水を含んだ、人の筋肉に近い感触を持った合成高分子物質である。このゲルに電気刺激を加えるとすみやかに収縮することを我々は見出した。この現象を利用すると、人工筋肉をはじめ多くの医学的応用が可能になる。ゲルに直流電圧を加えると収縮して仕事をする。この際負荷が多ければ多いほど速く、かつたくさんの仕事をする。これは筋肉にはみられない独特の作用である。また電気により膜の孔を自在にかえて透過性を制御するケミカルバルブ(伸縮機能性選択透過膜)や、ゲルに包含された医薬品を放出制御する薬物徐放性制御(ミサイルドラッグ)、さらにプラスチックとはりあわせてバイメタルなども作ることができる。ゲルは生体となじみの良い軟体材料である。ゲルのもつやさしい動きは、将来人工瞳や人工臓器、義指、扶助器官などにも利用できるだろう。
  • 岩田 一明
    1988 年 17 巻 2 号 p. 470-473
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本文は機械、設備、器具などを構成する部品の精密加工及び超精密加工に焦点をあわせ、現状と問題点について解説したものである。まず、近年における超精密加工技術へのニーズについて科学技術の面からの強い要請のあることを述べた後、機械・電子・光学部品の代表例を紹介する。続いて、超精密加工を実現する代表的な加工法を列挙し、とくに、超精密ダイヤモンド加工機によってセラミックスを加工した例について若干のデータを示す。すなわち、単結晶ダイヤモンド工具を用いると最大仕上面あらさは0.05μm程度で鏡面を得ることができる。その後、到達司能精度の趨勢について述べる。最後に、現在かかえている技術開発課題と進捗しつつある大型プロジエクトについて概観する。
  • 徳島 晃, 原尾 則行, 高橋 健一郎, 菅野 伸和, 稲葉 律夫
    1988 年 17 巻 2 号 p. 474-478
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    コンピュータを中心としたエレクトロニクスの目覚ましい進展に伴い、コンピュータと互角に渡り合うことのできる、小形で高速応答が可能なアクチュエータの出現が強く望まれている。
    超音波モータは、超音波振動により回転力を得るという新しい原理のモータであり、電流と磁界の相互作用による従来モータに比べて、単位体積当たりのトルクが非常に大きく、また応答性にも優れているため、上記要望を満たす新時代のアクチュエータとして非常に注目を集めている。
    今回、中空構造でユニークな用途展開が可能なリング型と、取扱いが容易で汎用性が高いディスク型の2タイプのモータとその駆動回路を開発した。
  • 吉里 勝利
    1988 年 17 巻 2 号 p. 479-481
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    臓器が損傷を受け、機能回復が不可能となった時の医学的対応は、人工臓器と臓器移植であった。ところが最近両者の適用が困難とされる場合の1つの解決方法として、細胞組み込み型の人工臓器(生物学的再構成臓器、培養人工臓器)が注目されてきた。この方法は、1) 肝臓などの多機能臓器にも応用できること。2) 患者の細胞を使用して、再構成すれば、免疫学的拒絶反応を避けることができるなどの特色を持っており、今後の発展が期待されている。本講演では、この方面の研究が最も進んでおり、また臨床応用も試みられている培養皮膚研究を概括し、次に今後の発展が期待されている培養肝臓の研究例を紹介する。これらの培養人工臓器が実用化されるための必須条件としては、1) 臓器実質細胞の迅速増殖培養法の確立。2) 臓器実質細胞機能のin vitroでの長期維持法の確立。3) 大量培養を可能にするための三次元培養法の確立などが考えられる。
  • 松本 實
    1988 年 17 巻 2 号 p. 482-485
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    形状記憶合金は機能性新素材として最近基礎・応用の両面において研究開発がさかんに行われている。形状記憶合金は形状記憶効果と超弾性の2つの性質をもっている。これらの起因は熱弾性型ヤルテンサイト変態とその逆変態である。形状記憶効果には1方向, 2方向, 全方位および過剰形状記憶効果がある。数多い形状記憶合金の中でTiNi系, Cu系およびFe系の合金が実際に使われている。現在1) 新形状記憶材の開発, 2) 新しい形状記憶効果の発見, 3) 加工技術, 4) 粉末冶金による製造の分野で研究が進められている。将来の問題として1) 劣化防止と寿命の向上, 2) 生体適合性, の分野の研究が必要である。
    応用例は産業機械, エネルギー, 医療, 建築関係の分野の他, 家電や生活関連の分野に見られる。医療分野での応用は人工心臓, 歯根, 歯科材料, 整形外科インプラント, 耳鼻咽喉科等においてさかんである。
  • 土屋 喜一, 桜井 靖久
    1988 年 17 巻 2 号 p. 486
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 菊池 明彦, 丸山 厚, 鶴田 禎二, 片岡 一則, 由井 伸彦, 桜井 靖久
    1988 年 17 巻 2 号 p. 487-490
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液と接触して用いられる人工臓器、あるいは血小板保存バッグや血小板セパレーターの設計において、血小板の粘着、表ならびに活性化を抑制する材料の役割は大きい。我々は、従来、血小板の粘着や活性化を抑制するのには不利と考えられていたカチオン性のアミノ基を一定量含有する材料表面において血小板の粘着が著しく抑制されることを見い出してきた。このポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)/ポリアミン櫛型共重合体上への血小板の粘着は、温度効果や細胞骨格破壊剤を用いての検討の結果、細胞骨格系の関与しない物理化学的な粘着であることが判明した。また、環境のpHを変化させて材料表面のイオン性を変化すると、表面がよリカチオン性になるにつれ吸着量は増大し材料表面の荷電が血小板粘着に関係することが強く示唆された。また、側鎖のポリアミン鎖はpHの変化によりそのモルホロジーが変化するが、血小板の粘着挙動にこのモルホロジー変化も影響すると考えられた。
  • 由井 伸彦, 片岡 一則, 桜井 靖久, 高橋 晃, 青木 隆史, 緒方 直哉
    1988 年 17 巻 2 号 p. 491-494
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    結晶一非晶ミクロ構造を制御したポリエーテルセグメント化ナイロン610のex vivo系における抗血栓性評価をウサギ頸部動脈間シャント法により行った。汎用材料では循環血液中の血小板数および血小板粘着能が低下し, 材料表面上の血小板形態変化が著しかったのに対し, ポリエーテルセグメント化ナイロン610表面上ではそうした循環血液への影響は認あられなかった。このことは, 特定の結晶-非晶ミクロ構造表面上では吸着血小板の活性化が特異的に抑制されており, 抗血栓性材料の分子設計をする上で結晶-非晶ミクロ構造の制御が極めて有効な指標であることを示している。
  • ~透過電顕による血小板内部構造変化からの考察~
    阿部 一彦, 関口 守衛, 片岡 一則, 岡野 光夫, 桜井 靖久, 明見 仁, 篠原 功
    1988 年 17 巻 2 号 p. 495-499
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ドメイン間表面自由エネルギー差を有するブロック共重合体の血小板内部構造変化に与える影響を明らかにするためにPHEMA, PSt, HEMAのモル分率が0.608でエネルギー差が約18dyn/cmのHEMA-Stブロック共重合体、FAAのモル分率が0.506でエネルギー差が約15dyn/cmのFAA-Stブロック共重合体、そしてHAのモル分率が0.72でエネルギー差が約1dyn/cmと小さいHA-Stブロック共重合体を準備し実験に供した。材料表面に粘着した血小板の内部構造変化は透過電顕を用いて解析した。その結果、HEMA-St, FAA-StはPHEMA, PSt, HA-Stに比べて血小板の内部構造変化を著しく抑制することが明らかになった。このことは異種連鎖の組み合わせをとわずブロック共重合体の抗血栓性の発現にはラメラ状のミクロ構造のみならず適度のエネルギー差が必要であることを示唆している。
  • 吉岡 幸男, 小柳 仁, 筒井 宣政
    1988 年 17 巻 2 号 p. 500-503
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    抗血栓性を有するFPUを用いて, 容量17mlの大動脈内バルーンを作成し, 雑種成犬13頭に挿入して実験を行った。駆動時の大動脈圧では, 良好なsystolic unloadingとdiastolic augmentationが得られた。血小板, 血小板粘着能, フィブリノーゲン, ACTなど血液凝固系の測定では, Cardiothaneと比較しても同等か, より良好な結果が得られた。最高24時間駆動後の, バルーン表面の走査型電子顕微鏡による観察では, FPUバルーンは, 血球成分やfibrin net workが少なく, 血栓形成は進行していなかった。Cardiothaneバルーンは, FPUと比べて付着物が多く, ほとんど全視野にわたって血栓や変形した血小板, 赤血球などが付着していた。血栓度分類では, FPU: 0.69±0.70, Cardiothane: 1.50±0.53 (mean±SD)でFPUの方がCardiothaneと比較しても, 低値(p<0.01)であった。
    今後臨床応用に向けて, さらに検討を加える方針である。
  • ―膜表面接着レセプターと吸着蛋白質の関係について―
    巽 英介, 松田 武久, 岩田 博夫, 妙中 義之, 野田 裕幸, 木下 正之, 関井 浩義, 矢倉 明彦, 高野 久輝, 阿久津 哲造
    1988 年 17 巻 2 号 p. 504-509
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Arg-Gly-Asp (RGD)は細胞接着性蛋白質に共通する結合最小活性部位のアミノ酸配列であり、血小板膜上にはRGDを認識するレセプターが多く存在する。材料表面での血小板粘着に関する基礎的知見を得る目的で、RGDレセプターと吸着蛋白質との関係について検討した。合成RGD-Ser (RGDS)により、血小板凝集・粘着はdose依存性に阻害された。fibrinogenわよびfibropectin吸着材料表面への血小板粘着率をRGDSの濃度を変えて測定すると、fibropectinではdose依存性に著明な粘着抑制効果がみられたのに対し、fibrinogenの場合には高濃度のRGDSによっても中等度の抑制効果に留まった。またSEMによる蛋白吸着面の血小板付着状態の観察でも同様の傾向を認めた。以上より、材料表面吸着蛋白質への血小板粘着、活性化、凝集過程にはRGD recept-ligand機構の寄与が大きいが、fibrinogen吸着面でみられたようにRGDを介する以外の粘着機構(multiple-site mechanisms)の関与も示唆された。
  • 中林 宣男
    1988 年 17 巻 2 号 p. 510
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 浦上 忠, 森 博司, 野一色 泰晴
    1988 年 17 巻 2 号 p. 511-514
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    限外濾過特性と抗血栓性に優れる濾過型人工腎臓膜を調製することを目指し、四級化キトサンとヘパリンとのポリイオンコンプレックス形成によるヘパリン化キトサン膜を種々の条件下で成膜した。この反応に基づくヘパリン化は、反応温度、反応時間、溶液のpHなどに依存し、ヘパリン化率の調節が可能であった。ヘパリン化率の異なるヘパリン化キトサン膜の限外濾過速度は、ヘパリン化率の上昇と共に減少し、膜の物理的、化学的構造に関係していた。また、これらの膜は尿素、クレアチニン、グルコース、BSP、ビダミンB12などの低分子質を完全に透過し、アルブミンなどの高分子溶質を完全に阻止し、濾過型人工腎臓膜の透過分離特性を満足していた。一方、成犬の静脈中で糸留置法により抗血栓性を調べた結果、四級化キトサン膜では抗血栓性は認められなかったが、ヘパリン化キトサン膜では良好な抗血栓性を示すことを知った。
  • 捕捉材料表面の分子設計と吸着挙動
    松田 武久, 岩田 博夫, 高野 久輝, 阿久津 哲造, 岸本 武利, 山上 征二, 前川 正信
    1988 年 17 巻 2 号 p. 515-520
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環装置による補体活性化によって生成するアナフィラトキシン(C3a, C5a)は血管及び血球に細胞傷害を与え, 合併症を誘起させる。C3a, C5aを体内に送血前に捕捉・吸着させるデバイスを開発する基礎的研究として, 本研究では多成分濃厚蛋白質系である血液から高選択的に吸着する基本原理と材料表面設計について報告した。基本原理は生常血液中の大部分の蛋白質が酸性蛋白質であるのに, C3a, C5aは強塩基性蛋白質であることに注目して, 材料最表面に負荷電基を導入し静電的相互作用を有効に利用することである。用いた高分子表面はセルロース, ポリビニルアルコール及びポリスチレンであり, 一段の反応によって最表面層にカルボキシル基, 硫酸基を導入した。表面修飾の反応時間依存性をX線光電子分析によって定量的に迫跡し, 制御できることを明らかにした。C3a, C5aは負荷電高分子の比接触面積の増大と共に捕捉されることが明らかとなり, 上述の作業原理の合目的妥当性を確かめた。
  • 赤池 敏宏, 平岡 淳一郎, 由良 洋文, 鮫島 正, 山本 雄一, 高橋 晃
    1988 年 17 巻 2 号 p. 521-524
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    治療・診断において価値の高い種々の免疫担当細胞に対して高い親和性を有する合成材料の開発はチャレンジングでかつ重要な課題である。この目標を実現するためには, 標的となる細胞に存在するレセプターあるいはマーカー分子を設定し, 出来る限りそれに親和性の高い人工的リガンドを合成し, マトリックスに固定することが必要である。演者らは細胞集団からBリンパ球を高選択的に吸着・分離するためのマーカー分子として膜表面の免疫グロブリン(Ig)分子に着目した。これまでにIgG親和性の高いリガンドとして筆者らが見出したアスパルテーム(α-L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル, AT)およびスルファチアゾール(ST)を選び, 結合剤(グルタールアルデヒドあるいは各種ビスエポキシド)および担体ビーズ(キトサンあるいはアクリルビーズ)を適当に選択し, リガンドの固定をおこなった。ヒト血液より調製したリンパ球懸濁液を前述のビーズを充填したカラムに流入し流出液のリンパ球を分析し, T, B分離の収率と純度を評価した結果AT固定ビーズ, ST固定ビーズとも適切なリガンド, 担体の選択により回収したTリンパ球の収率が85~95%, 純度が90~95%という高選択的なT, B分離が実現した
  • 山口 貴司, 原田 幸雄, 吉村 敬三, 杉浦 敏文
    1988 年 17 巻 2 号 p. 525-530
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    磁性流体は新素材として注目されているが, 医学への応用は確立されていない。この素材は磁場によって磁化して形態が変化し, また磁場の消失によって復元するという特性を有している。この性質を人工肛門に応用して, 人工括約筋的な機能を付加する新しい方法を考案し, 動物実験でその有効性を検討した。方法としては, シリコン製トーラス状バッグ内に磁性流体(デキストラン・マグネタイト, D-M)を約20ml注入し, 人工肛門周囲の筋腹間にこれを埋設移植する。次いで磁石キャップ(ラジアル方向磁化円筒形永久磁石)を人工肛門内に挿入すると, 磁化された磁性流体と磁石キャップとの間に働く磁力によって肛門が括約され, 糞便の漏出を制御しようとする方法である。
    雑種成犬5頭による本法の合併症に関する検討, またビーグル犬10頭を用いた慢性飼育実験を行った結果, 磁性流体を応用した括約式人工肛門の有用性を確認する結果を得た。
  • 根岸 直樹, 富田 靖彦, 菊地 眞
    1988 年 17 巻 2 号 p. 531-535
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    430MHz帯のマイクロ波は筋肉層への透過深度が約4cmであり、筋肉中での波長が約9cmであるため電波レンズ型アプリケータを用いれば充分な加温選択性が得られる。生体分解性のポリヒドロキシプロピルグルタミン(PHPG)に抗癌剤のメソトレキセートを共有結合させて高分子プロドラッグを合成し、430MHz帯のマイクロ波によるプロドラッグの温度上昇を検討すると、PHPGより発熱することが認められた。種々の高分子物質に対する430MHz帯のマイクロ波の作用を複素誘電率測定および温度測定より検討すると、比誘電損の大きい高分子電解質系がマイクロ波照射により加温され易いことがわかった。さらに高分子電解質を筋肉等価なファントムに注入してマイクロ波を照射し、ファントムより加温されることを確認した。高分子電解質系のプロドラッグが利用されるならば、選択的マイクロ波照射により局在的薬物投与すなわち物理的ターゲッティングが期待される。
  • 清水 慶彦
    1988 年 17 巻 2 号 p. 536
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 塩崎 滋弘, 阪上 賢一, 松岡 順治, 宮崎 雅史, 内田 晋, 斎藤 信也, 藤原 俊義, 折田 薫三
    1988 年 17 巻 2 号 p. 537-541
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    IL-2徐放システムとしてcollagenを担体とするIL-2 mini-pellet製剤を開発しその効果を検討した。まずIL-2 mini-pellet製剤をマウスに皮下投与した後, IL-2の血中濃度を測定しその血中動態を検討した。次にIL-2 mini-pellet製剤投与後の脾細胞に誘導される細胞傷害性について検討した。最後にマウス肺転移モデルを作製し, IL-2 mini-pellet製剤とLAK細胞による養子免疫を試みその効果を検討した。そしてその結果, IL-2 mini-pellet製剤を皮下投与した場合は, 投与後72時間まで血中にIL-2が証明された。またin vlvoにおいて容易にNK細胞, LAK細胞活性を誘導し得ることが示された。IL-2 mini-pellet製剤とLAK細胞による養子免疫では, 対照群はもとより, IL-2とLAK細胞による養子免疫に対してもより強い抗腫瘍効果を示した。以上より, IL-2 mini-pellet製剤はIL-2の徐放性に優れ, 今後の養子免疫における応用が期待される。
  • 木戸 友幸, 杉立 彰夫, 佐藤 ゑみ, 林 隆一
    1988 年 17 巻 2 号 p. 542-545
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    組織吸収性Gelatin (G)を担体として、Thrombin (T)、Factor XIII (XIII) Adriamycin (ADM)の3者を固定し、新材料G・T・XIII-ADMを作製した。基礎的検討のため、本材料とFibrinogenを家兎胸腔内に注入し、16日後にsacrificeした。臨床的には、14例の重症癌性胸膜炎症例に対して、胸腔catheterにて胸水を排除したのちにG・T・XIII-ADMおよびFibrinogenを胸膜腔内に注入した。家兎in vivo studyでは、胸腔内に著明なFibrin clotが観察され、そのclotに92.57μg/gのADMが測定された。注入側肺のADM濃度は0.77μg/gで、その他の臓器では0であった。臨床例では、14例中13例で、胸水の再貯留は認められず、本療法施行後、症状は著明に改善された。副作用は認められなかった。死亡例中7例に剖検を施行した。胸膜全面にFibrin clotによる癒着がみられ、組織所見では、胸膜部分の癌細胞の壊死が認められた。我々は、本療法をBio-Adhesio-Chemo (BAC) Therapyと命名し、なお臨床応用を続けている。
  • 佐藤 伸一, 丹生 智史, 白方 秀二, 岡 隆宏, 野一色 泰晴
    1988 年 17 巻 2 号 p. 546-549
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は口径3mmの小口径結合織人工血管が良好な治癒を示すことを以前報告してきたが, その際に行ったヘパリン化法は処理に1時間を要し, 操作がやや繁雑であるという欠点があった。そこで短時間に, しかも簡便にそれを行うための改良として, 結合織管を取り出さずに皮下においたまま, グルタールアルデヒドを用いてheparinization in situを行った。この方法は全処理時間15分と短時間であるばかりでなく, その操作によって結合織管を構成する諸細胞はほとんど傷害されず, 結合織管本来の良好な治癒力の低下もみられなかった。本法は結合織人工血管だけではなく血栓内膜摘除術後の血管壁のような内皮細胞が脱落して抗血栓性の低下した自己動脈壁にも容易に抗血栓性を賦与することができるなど, 臨床的にも有用と思われる。
  • 村山 祐一郎, 佐藤 伸一, 岡 隆宏, 今西 二郎, 野一色 泰晴
    1988 年 17 巻 2 号 p. 550-552
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    glutaraldehyde (GA)架橋の欠点を補うためpolyepoxy compoundsが新しい架橋剤として注目されているが, 架橋処理された生体材料の抗原性に関する研究は十分ではない。そこで疎水性架橋剤のGA, 親水性架橋剤のglycerol polyglycidyl ether (GPE)で処理した血管の抗原性について検討した。雑種成犬1頭(donor犬)の動脈を採取し, 無処理, GA架橋, GPE架橋の3群にわけ, 物理的に粉砕し, これらとpositive controlのdonor末梢血リンパ球を抗原としてDDYマウスに投与した。屠殺後血清を採取し, これらの血清とnegative controlの正常マウス血清とをdonor犬の末梢血リンパ球と反応させ, さらにFITC標識ヤギ抗マウスIgG抗体で標識後, フローサイトメトリーで陽性細胞の出現率を測定した。最大陽性率はGA群では1.7±1.1%, GPE群では2.1±3.1%であった。2群間に有意差はなく, GPEはGAと同程度に抗原性を低下させると考えられた
  • 今井 庸二
    1988 年 17 巻 2 号 p. 553-556
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工材料を生体に埋めこんだ時に起こる組織反応が, 埋めこみ時の年齢によってどのような影響を受けるかを明らかにするため本研究を行った。二つの群について実験を行った。まず, 5週齢のラットを購入し, 6・12週齢, 6・12月齢に達した時点で, シリコーンゴムとポリヒドロキシエチルメタクリレートゲルのシートを左右の皮下組織に埋植した。次に6・12週齢, 6・18・21月齢のラットにポリエステルとふつ素系ポリマーのフィルムを同様に埋植した。2週から6月後にかけて組織塊を取り出した。細胞性の反応は, 埋植初期において6週齢でやや反応が強く, 21月齢でやや弱くなっている程度で, どの年齢でもほぼ同じような経過をたどった。材料周囲に形成された被膜の厚さを測定すると, 6週齢から18月齢では大した差は認められなかったが, 21月齢ラットで被膜厚さが大幅に減少した。本研究で用いたふつ素系ポリマーは例外的に薄い被膜を形成した。
  • 大城 孟
    1988 年 17 巻 2 号 p. 557
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―コラーゲン被覆超極細ポリエステルメッシュを用いた右室流出路再建術の実験的検討―
    大越 隆文, 野一色 泰晴, 冨澤 康子, 森島 正恵, 小柳 仁
    1988 年 17 巻 2 号 p. 558-561
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    理想的な心臓補填材料の一候補としてコラーゲン被覆超極細ポリエステルメッシュ(以下, CUFPと略す)を作製した。そして, それを雑種成犬を用いて右室流出路から主肺動脈にかけて約4×3cmのパッチとして縫着し評価した。対照として, グルタールアルデヒド(GA)処理馬心膜を用いた。CUFPは適度な厚みと柔軟性を備え, 取り扱いが容易であった。縫合針の通過抵抗が少なく, GA処理馬心膜よりも縫合し易かった。針穴や縫合線からの出血は殆どなかった。肉眼所見では, CUFPの内面に殆ど血栓形成はなかったが, GA処理馬心膜では, 術後4日, 5日, 7日目の例で, 主に周辺部に厚さ2~3mmの血栓形成を認めた。光顕所見では, 術後28日までの試料で良好な治癒像が見られ, 対象群のGA処理馬心膜では術後19日までの試料で, 付着血栓や新生内膜が容易に剥離する傾向を認めた。
  • 大前 博昭, 岡崎 正之, 日野 常稔
    1988 年 17 巻 2 号 p. 562-565
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    骨に類似したCO3-ApをI型アテロコラーゲンと混合して成形性を賦与し、さらにUV照射によってコラーゲンの架橋をはかり不溶化した。アパタイト・コラーゲン複合体は、4時間以上のUV照射により溶解性が著しく減少し形態の保持がよくなった。ラット腹部筋膜下に埋入したUV照射アパタイト・コラーゲン複合体は形態の保持もよく、生体親和性も良いことが示された。
  • 冨澤 康子, 野一色 泰晴, 大越 隆文, 小柳 仁
    1988 年 17 巻 2 号 p. 566-569
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    癒着の初期段階であるフィブリン析出をヘパリン徐放で阻止し, 癒着を防止することを目的とした代用心膜の開発を試みた。開発した代用心膜はブタ心膜をグルタールアルデヒド(GA)にて架橋し, 膜にプロタミンを用いてヘパリンをイオン結合したものである。コントロールはGA処理のみとした。作成した心膜は適度の伸展性があり柔軟で, 取り扱いは容易であった。実験は雑種成犬の心膜に縫着し経過を観察し, 試料を採取した。結果は, 代用心膜と心臓との癒着に関しては両群とも良好な成績を示し, 膜に面していた心臓表面の冠動脈の走行がはっきりと観察できた。摘出標本では心膜は柔らかく, 滑らかであった。光顕所見では, 代用心膜上に薄い結合織があり, その表面を一層の細胞が覆っていた。この一層の細胞は, 生理的な癒着防止膜の機能を果たす中皮細胞と思われた。従って開発した代用心膜はこの細胞の被覆により永久的抗癒着性を獲得できるものと考えられる。
  • ―特に経皮的接合性に関する検討
    北岡 建樹, 衣笠 えり子, 秋沢 忠男, 越川 昭三, 中林 宣男
    1988 年 17 巻 2 号 p. 570-573
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体と入工素材との接合性および親和性を検討するため、ハイドロキシアパタイト(HA)をラットの背部皮下組織中およびその一部を体外に露出させて植え込み、経時的に摘出し、肉眼的・顕微鏡的に観察した。さらにHAとダクロンカフをつけたシリコンチューブをラットの腹膜から皮下組織に植え込み、接合性を検討した。
    HAの接合性は気孔率による影響がある。気孔率の小さなHAでは、素材の周囲を線維組織が覆うだけで(encapsulation)、素材との直接的な接合性は認められない。一方、気孔率の大きなHAでは、経皮的な接合性を含めて生体との接着は良好である。長期間の観察においても脱落することなく、表皮のdowng rowthの所見は認められず、優れた親和性をもって接合している。経腹膜的な植え込み実験より、HAをカテーテルに付属させることは、現在のカテーテルに伴う副作用の発生を減少させる可能性がある。
  • 中尾 昭公, 高木 弘, 長岡 昭二
    1988 年 17 巻 2 号 p. 574-577
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工材料と血液凝固線溶系ならびに補体系との関連について抗血栓性材料としてポリエチレンオキサイド鎖を有するヒドロゲル(PEO-H), ヘパリン化親水性材料(H-PSD), また対照としてポリ塩化ビニル(PVC)についても検討した。それぞれ内径4mmのチューブを作製し, 健常成人の全血を採取と同時にチューブ内へ注入し37℃でincubateし, 経時的に血液凝固線溶系ならびに補体系の変化を測定した。PEO-Hチューブ内では接触性凝固が抑制され凝固は遅延したものと推察された。H-PSDチューブ内では血液は凝固しなかった。PVCチューブ内では血液はすみやかに凝固しC3a, C4aとも上昇が最も高度であり, 次いでPEO-H, H-PSDの順であった。接触性凝固機序と補体系の活性化には密接な関連があり, 血液凝固を抑制する材料表面では補体の活性化も抑制されることが認められた。
  • 野一色 泰晴, 宮田 暉夫, 古瀬 正康, 山根 義久
    1988 年 17 巻 2 号 p. 578-581
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ヘパリンを徐放する柔軟な構造の抗癒着性人工心膜を作成し、動物実験を行った。その結果、8例中5例に癒着はなく、1例に炎症性癒着を認め、残り2例は長期安全性試験のため、管理中である。対照群としてグルタールアルデヒド処理心膜を用いたが、5例中4例に癒着は認められず、1例は術後失った。採取した膜は対照群に比べて柔軟であり、膜の接する心臓表面へ与える影響は柔軟性に比例して、対照群より軽度であった。ヘパリンのフィブリン析出阻止作用は人工血管内面への抗血栓性賦与のためすでに利用された方法であるが、癒着に先行して創面にフィブリンが析出すること、およびフィブリン析出を阻止すれば癒着組織は形成されないことの理由から、ヘパリン徐放性癒着防止膜は腸管の癒着阻止用にすでにその効果が実証されている。本研究ではそれを人工心膜に応用したこと、および膜を柔軟にすることで心臓表面へ与える機械的刺激を軽減させたこと、そしてヘパリン放出後の人工心膜表面を天然の抗癒着性をもつ漿膜細胞により覆わせたこと等が成功のかぎであった。
  • 今井 庸二
    1988 年 17 巻 2 号 p. 582
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 青木 裕彦, 吉岡 豊一, 谷 徹, 花沢 一芳, 遠藤 善裕, 松田 孝一, 沼 謙司, 岡 藤太郎, 石井 豊, 小玉 正智, 小路 久 ...
    1988 年 17 巻 2 号 p. 583-586
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液中の選択的なエンドトキシン除去を目的として開発したポリミキシンB固定化ファイバー(PMX-F)と非選択的吸着剤である活性炭およびポリミキシンBを固定する前のα-アミドメチル化繊維(キャリヤー)の3材料を用いEt吸着量及びEtショックモデル犬の生体反応にて比較しポリミキシンBを固定化する意義について検討した。フェノール硫酸法による水系でのEt吸着能は、PMX-Fが活性炭の3.6倍、キャリヤーが活性炭の2.5倍でありPMX-Fが最も多くのEtを吸着した。Etショックモデル犬を作製し、各材料を充填したカラム(50ml)を用いたDirect hemoperfusionによる治療実験を行った。一週間の生存率は、キャリヤー群では13例全例が3日以内に死亡し、活性炭群でも生存率は20% (1/5)と低かった。PMX-F群では73% (11/15)の生存例があった。更に、Etショックによる低血圧、白血球減少及び代謝性アシドーシスからの回復において他の2群より良好な結果がえられた。以上よりポリミキシンB固定化の有効性及び意義が証明された。
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