抄録
完全植え込み型の人工心臓を開発するにあたって考慮しなければならない技術的要素としては, 材料, ポンプ, アクチュエータ, エネルギ源, センサ, 制御, バックアップシステムなどがあげられる。これらのうち最も重要で, 難しい差し当りの問題点は, ポンプ材料, アクチュエータ, エネルギ源に関連するものである。全く血栓を形成することなく, 耐久性に優れ, 機械的性質が長期間安定であるような材料はまだ見当らない。また, 体内に埋め込むことのできる程の小型で, しかも高出力が期待でき, 効率が高く, 信頼性のあるアクチュエータの設計も容易ではない。さらに、小型でありながら大容量のエネルギ源の開発は遅れており, 次善の策として経皮的にエネルギを体外から伝送する方式が考えられ, 研究も進められているが, この場合でもある程度のエネルギを蓄積しておく必要があるが, 未だ実用できる程度のものはない。