人工臓器
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血液透析用ブラッドアクセスとしての大腿部ストレートグラフト
久保田 和義川内 章裕渡辺 敢仁中嶋 真太田 秀男高場 利博小池 正石井 淳一
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1988 年 17 巻 2 号 p. 635-638

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抄録
上肢での内shunt作製が困難な透析患者5例に対して, 人工血管(内径4~7mmのEPTFE tapered graft)を用いて大腿部にblood accessを作製した。膝窩部より鼠径部に至る皮下トンネルを通し, 膝窩動脈に径4mmを端側吻合し, 径7mm側を大伏在静脈に端側吻合(4例)あるいは大腿静脈に端側吻合(1例)した。全例とも作製後2週間後よりgraft穿刺による透析が可能であった。経過中2例に計4回の閉塞が見られたが, Fogarty catheterによる血栓除去により容易に再開通した。graftの感染, 動脈瘤が各1例見られた。5例中3例は, 1年6ヶ月以上graftは開存した。超音波装置によりgraft血流量を測定した2例の流量はおよそ500ml/minであった。大腿部straight graftはloop法に比べstraightであることから, Fogarty catheterによる血栓除去は容易と考えられた。今後shunt troubleは増加すると考えられ, 大腿部のblood access法として本法は試みられるべき方法と考えられた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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