人工臓器
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外科用接着剤としてのEthoxyethylcyanoacrylateの応用
―組織反応について―
田村 康一河原崎 茂孝人見 滋樹曽 英超玄 蒸烋筏 義人清水 慶彦
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1988 年 17 巻 2 号 p. 739-742

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抄録
従来より外科用接着剤として応用されているα-cyanoacrylate(以下CAと略。Methyl(MCA), Ethyl(ECA), Isobutyl(IBCA))ここ加えて, Ethoxyethylcyanoacrylate(EECA)にっいて医療用接着剤としての可能性を検討するため, 物性およびin vitroでの分解速度とin vivoでの分解速度と組織反応について比較をおこなった。物性の面では, 他のものに比べてEECAには粘性があり, 重合速度も比較的低く, また重合後の柔らかさの面でも優っていた。分解速度については, in vitroとin vivoで同様の結果が得られ, EECA≤MCA<ECA≤IBCAの順であった。周囲組織に及ぼす影響, 特に細胞浸潤の程度は, MCA<EECA<ECA≤IBCAの順であり, CA重合体の分解速度と組織反応とは相関する傾向がみられた。EECAは生体接着剤としての応用が可能であり, CA接着剤の問題点を解決する上での基剤として利用が可能であると考えた。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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