抄録
少流量の体外循環で炭酸ガス除去を行うことを目的とし透析器を用い, 炭酸ガスを重炭酸イオンとして除去する体外循環装置を試作した。本法の炭酸ガス除去の効率, 血球成分および血清電解質に対する影響などを観察するために換気不全犬をモデルとして実験的に検討した。雑種成犬を麻酔し人工呼吸器に接続した。体外循環は上大静脈より脱血し炭酸ガス除去後, 股静脈より送血した。人工呼吸器の換気条件を50%酸素下に低換気とし高炭酸ガス血症の状態にした後, 体外循環を開始した。体外循環の血流量は10ml/Kg/分とした。透析液中に移動した重炭酸イオンは炭酸脱水素酵素を触媒とし透析液中に吹き込まれた空気とともに炭酸ガスとして除去された。
体外循環中にこのシステムで除去された炭酸ガスは, 血液100mlあたり約16mlであり本法は炭酸ガス除去の有力な方法になると考えられた。