1988 年 17 巻 3 号 p. 902-905
心筋梗塞モデルを用いた慢性動物実験で、補助心臓駆動による心機能の回復過程を心力学的に検討した。血行動態諸量の他に、超音波センサで左室内径、ならびに健常部位と虚血部位の心筋長および壁厚を測定し、左室全体および局所心筋のなす外的仕事量を計算した。この結果、1)補助心臓は虚血部心筋の機能を回復させ、梗塞部位を縮小させる効果があること、2)血行動態データからだけではポンプ停止テストを行わなければ心機能の評価が難しいが、左室全体のなす外的仕事量を観測すれば、ポンプ駆動を停止しなくてもポンプ離脱時期を決定できる可能性があること、3)左室容積は漸増するが、虚血部心筋はこれに伴う変化を示さないこと、4)ポンプ駆動に伴う心筋壁厚の漸減傾向は健常部よりも虚血部で顕著であること、7)ポンプ除去後、血行動態および左室変位データが安定するまでに約1週間を要すること、等が示唆された。