人工臓器
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自家内皮細胞被覆人工血管の開発
基礎的検討
諸星 保憲菅 幹雄前山 俊秀大熊 恒郎佐々木 久雄市来 正隆佐藤 成杵淵 忠司金田 寛之斉藤 研大内 博森 昌造
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1988 年 17 巻 5 号 p. 1609-1620

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抄録
内皮細胞被覆人工血管の開発を目的とし, 犬外頸静脈由来血管内皮細胞の増殖要因の検討と, シート状人工血管素材上での培養を試みた. 犬内皮細胞はRITC 80-7+10%牛胎児血清(FBS)+acidic fibroblast growth factor (aFGF) 20ng/ml+heparin 25μg/mlで良い増殖が得られ, とくにaFGFの添加とtype 1 collagen coatingによりきわめて増殖が促進された. シート状ePTFE上ではcollagen coatingを行なわないと細胞はほとんど接着増殖を示さなかった(接着率4.5%). Coatingの際のcollagenの至適濃度は25μg/mlで, 接着率30~50%, 倍加時間30~35時間であり, 播種細胞数180/mm2で約5日, 360/mm2で約4日でほぼconfluentとなりえた. ePTFE上ではculture dishに比較して接着増殖は悪いものの, 以上の結果から適切な濃度のcollagen coatingによりePTFE上での内皮細胞の増殖は可能であり, 円筒状内皮細胞被覆人工血管の作製の条件が示された.
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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