抄録
ワイヤ状形状記憶合金(SMA)を用いてひとつのユニット、すなわち人工サルコメアとなし、これを多数直・並列につなぎ、最終的にひとつの人工筋肉やマニピュレータとするアイディア実現の基礎として、人工サルコメアのもっ特性について調べた。0.5mmφのSMAワイヤによる改良モデルを用いた実験では、ワイヤ単独よりも、人工サルコメアとした方がストロークの増大が得られ、また、2個直列・並列に用いればそれぞれ力およびストロークがほぼ2倍となり、複数個用いることにより力とストロークの増大が簡単に得られることがわかった。次に、人工サルコメアをアクチュエータとしてひとつの関節を構成した結果、実用的な範囲においては十分制御性が得られた。現在人工サルコメアを単位とした人工筋肉をさらに"拮抗筋"として用いたりして、より実用的なマニピュレータの製作を計画しており、1~2個の人工サルコメアが多数集合した場合に起るさまざまな問題の解決が次の課題となっている。