人工臓器
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18 巻 , 1 号
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  • 阿部 稔雄
    1989 年 18 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 峰島 三千男, 阿岸 鉄三, 金子 岩和, 蓮尾 良博, 北野 優里, 鈴木 利昭, 佐中 孜, 太田 和夫, 福井 清
    1989 年 18 巻 1 号 p. 3-6
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    全世界で生産されるアルブミン製剤の1/4以上を消費しているわが国では血漿の節約, 効率のよい採漿が急務となっている。本研究では二重濾過分離法による選択的アルブミン採取システム(SACS)を新規に導入し, アルブミンの採取効率, ほかの蛋白との分離特性をin vitro実験により評価した。SACSでは1次膜である血漿分画膜によりアルブミンとグロブリンを分離, 2次膜である血液濾過膜によりアルブミン分画のみを分離し, 採取することを目的としている。セルロースアセテートからなる血漿分画器, 血液濾過器を用いたところ, 濾液血漿あたりの採取効率はβ2-マイクログロブリン21.1%, アルブミン79.3%, IgG 69.2%, IgM 24.9%となりアルブミンを効率よく採取できることが明らかとなったが, IgGとの分離には限界があることが明らかとなった。供給血液流量50ml/min, 60minで240mlの血漿を採取したところ, アルブミン15g以上回収できたが, 同時にIgG 1.5g弱も含まれていた。
  • 津田 裕士, 谷口 修, 杢野 千穂, 河西 利昭, 東名 正幸, 藤田 新, 横山 真和, 橋本 博史, 広瀬 俊一
    1989 年 18 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)の血小板減少, 血栓症, 反復性流産, STSの生物学的偽陽性は, 原因として抗カルジオリピン抗体(抗CL抗体)の存在が考えられる。我々は病態の改善を期待して, 抗CL抗体の吸着除去について検討した。
    我々は, 陰性電荷のリン脂質の構成単位について, 抗CL抗体との親和性を調べた。この結果, 陰性電荷のみでも吸着したため, 次に陰性電荷の化合物を固定した吸着剤を送り, 吸着能について検討した。その結果, デキストラン硫酸(DS), ポリアクリル酸などが高い吸着を示した。
    DSは, LDL吸着としてすでに臨床応用されているので, これをSLE患者2例に使用した。この結果, 抗CL抗体, 抗DNS抗体が除去でき, 血小板も増加し, 蛋白尿の減少も認めた。
    以上より, このDSは吸着剤として有用であり, 今後さらに改良して, 検討していくつもりである。
  • 泉 泰治, 中島 熈
    1989 年 18 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ビリルビンは血清中のアルブミンと強く結合しており種々の吸着剤を用いても血液中から除去することが難しい。そこで新しくビリルビンに対するモノクローナル抗体を作製しそれを吸着剤として血液中のビリルビンを除去する方法を試みた。ハイブリドーマの中から非抱合型、抱合型ビリルビンどちらにも強い親和性を示す24G7というクローンを選び、そのIgGをCNBr-Sepharoseに固定化して吸着剤を作製した。この吸着剤はアルブミンの存在下でも非抱合型、抱合型ビリルビンともに強い親和性を示し、黄疸血清中のビリルビンを効果的に除去することができた。ホルモンや胆汁酸などの非特異的な吸着はほとんどみられなかった。モノクローナル抗体の技術によって低分子量の物質に対する均一で大量の抗体を得ることが可能になったのでこの方法は他の毒素や薬剤など血清中のタンパクと強く結合している物質の選択的除去に広く応用できると考えられた。
  • 谷原 正夫, 岡樹 一郎, 中島 俊秀, 奥村 誠一, 井手 芳彦, 高守 正治
    1989 年 18 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    重症筋無力症の病原物質と考えられる抗アセチルコリン受容体抗体を特異的に除去する目的で, 抗原の一部を化学的に合成したペプチドを固定化した吸着剤を作成した。
    シビレエイのアセチルコリン受容体のα-サブユニット183-200番に相当するペプチドが受容体のアンタゴニストであるα-ブンガロトキシンを強く結合した。このペプチドを固定化した吸着剤もα-ブンガロトキシンを結合し, この結合能はオートクレープ滅菌後も保持された。種々の安全性試験の結果, 本吸着剤は安全性が高いことが示された。
  • 奥村 誠一, 井手 芳彦, 高守 正治, 谷原 正夫, 岡樹 一郎, 中島 俊秀
    1989 年 18 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    アセチルコリン(ACh)受容体αサブユニットの中で重症筋無力症の病態と重要な関わりを持つとされるACh結合部領域を特定し, その領域(α 183~200)の合成ペプチドを抗原として動物モデルの作出と患者血液中の抗体の検出を行なった。これらの結果を踏まえ, 重症筋無力症患者の抗原特異的治療を試みた。この合成ペプチドに対する高い抗体価を示す2症例について, 合成ペプチド固定化吸着剤を用い, 血液処理を2日連続で行なった。本療法によって対応する抗ペプチド抗体は特異的に減少し, 神経筋伝達の電気生理学的指標による評価で, 筋無力症状態の改善がみられた。
  • 赤池 敏宏, 真栄 田篤, 戸辺 成四郎, 須田 匡, 由良 洋文, 山本 雄一
    1989 年 18 巻 1 号 p. 24-27
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    標的治療の実を上げるためには、デバイスを構成する材料自体に細胞や組織などの有する様々な知的機能(インテリジェンス)を付与しなければならないが、まず満たさなければならない重要な要素機能は分子認識(センシング)機能である。
    各種の細胞や生体分子を特異的に認識する生体特異性(細胞特異性、生体分子特異性)材料を出来る限り合成的手段で設計することが要望されている。
    標的成分を除去する人工臓器的デバイスにおいても、標的をめがけて医薬を送達するミサイルドラッグにおいても、細胞特異性材料を開発することが、必須の課題である。本研究では、このような観点からB―リンパ球と肝実質細胞を対象とした、細胞特異性材料設計の考え方とその実際のアプローチを報告する。
  • 丹野 弘晃, 浅沼 義博, 面川 進, 小山 研二, 菊池 淳, 大内 清昭
    1989 年 18 巻 1 号 p. 28-31
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    AFP産生性ラット腹水肝癌AH66とAFP結合ビーズ(AFP-B)を用いて、放射標識抗AFP抗体の両者への集積と血中AFP濃度の影響について検討した。抗体投与5日後のシンチグラムにおいて、AFP―Bへの明瞭な集積像が認められたが腫瘍部へは集積しなかった。AFP―Bの組織集積度を組織血液比で比較すると、血中AFP高値の担癌ラットでは6.66±1.67であるのに対し、正常ラットでは17.43±5.55と有意に高い集積を示した。担癌ラットに全血交換を施行し血中AFPを低下させると、AFP―Bへの抗体集積度は11.20±0.25と増大した。抗AFP抗体の腫瘍への集積は認められなかった。以上より、AFPの如く、細胞表面に存在せず血中に分泌する抗原は、抗体を用いた画像診断やtargetting chemotherapyに適さないと考えられた。しかし、癌細胞表面に存在する抗原に対しては、全血交換にて血中抗原量を低下させることにより、投与抗体の癌部への集積を増大させることが可能で、画像診断及び治療上有意義である。
  • 杉立 彰夫, 林 隆一, 木戸 友幸, 佐藤 ゑみ, 宮地 尚子
    1989 年 18 巻 1 号 p. 32-35
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    現在, 臨床使用されている各種制癌剤のうち, 7種類の薬剤を剤型変更し, 標的治療が可能な新しいタイプの制癌材料を試作した。これらの薬剤活性を基礎的に調べ, 一部は, in vivoにて抗腫瘍効果を観察し, 臨床応用の可能性についても検討した。剤型変更した制癌剤は, Adriamycin (ADM), Mitomycin C, Methotrexate, Bleomycin, Peplomycin, 5-FU, cis-platinumの7種類。これらを夫々別個に, 独自に開発した材料, “G・T・XIII”及びfibrinogenと反応させ, 形成されたfibrin clotの中に封入, 局所停滞性と徐放性を付与することによりtargetingを可能とした。ADM含有材料を, 家兎VX2-腫瘍に対するTACEの塞栓材料として使用した結果, 有効率は72%, 制癌剤単独使用時の22%に比較して高い抗腫瘍効果を有することが示唆された。臨床的には, 局所進行乳癌術前のTACE, 癌性胸水に対する胸膜癒着療法などに応用を試み, その治療効果が期待される。
  • 根岸 直樹, 富田 靖彦, 菊地 眞
    1989 年 18 巻 1 号 p. 36-39
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    物理作用として超音波と電磁波を比較して、マイクロ波を選択した。430MHz帯の平面波のマイクロ波は筋肉層への透過深度が約3cmであり、筋肉中での波長が約9cmであるため電波レンズ型アプリケータを用いれば充分な選択的照射が可能である。種々の高分子物質に対する430MHz帯のマイクロ波の作用を複素誘電率測定および温度測定より検討すると、比誘電損の大きい高分子電解質系がマイクロ波照射により加温され易いことがわかった。さらに高分子強電解質を電気的に筋肉等価なファントムに注入して、外部からのマイクロ波による高分子の温度上昇を検討すると、高分子強電解質の方がファントムより加温されることが確認された。430MHz帯におけるマイクロ波の作用は主としてイオン電導損失およびイオン緩和損失による発熱、すなわちフリーイオンの振動 (衝突) による発熱が重要な役割を果しているものと思われる。
  • 岡野 光夫, 桜井 靖久, Y. H. BAE, S. W. KIM
    1989 年 18 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    温度変化に対し敏感に膨潤―収縮変化を起し, しかも機械的強度を持つイソプロピルアクリルアミドとブチルメタクレートのコポリマーゲルの膜およびモノリシックデバイスを作製した。グルコースおよびインスリンの透過性を調べると, 20℃ではいずれも大きな透過性を示すのに対し, 30℃では透過性が完全に停止した。次に, コポリマーゲル中に疎水性薬物のインドメタシンを含有させ, 放出速度を20℃と30℃で段階的に変化させて調べた。30℃では薬物は全く放出されないが, 30℃から20℃に温度を変化させると大きい放出速度が観測された。さらに, 20℃から30℃に温度を上げると薬物放出はただちに停止した。このように温度の上下によってパルス型の薬物放出が実現されることを明らかにした。このような現象はコポリマーゲルの表面がきわめて敏感に温度変化を検出し, 構造変化―分子鎖が広がった状態と密になった状態の間で可逆的に変化―することによるものと考えられた。
  • 中沢 速和, 阿岸 鉄三, 木原 健, 本田 宏, 寺岡 慧, 太田 和夫
    1989 年 18 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    1984年以来われわれは進行癌に対する集学的治療の一つとして、完全埋め込み式vascular device device (VAD)を用いた担癌臓器に対する経皮的制癌剤選択投与と活性炭による制癌剤吸着除去の併用療法を試みてきた。これまで62例の進行癌患者に対してVADの植え込みを行い、60例に選択的化学療法を施行した。VAD開存率は6カ月87.4%、12カ月66.5%であり、平均6.2カ月(0-24カ月)薬剤投与が可能であった。この結果はVADが制癌剤投与経路として十分満足すべきものと思われる。また活性炭吸着を併用した高濃度制癌剤投与療法は21例に26回施行され、抗腫瘍効果は判定可能20例において奏効率60%、MR以上の腫瘍縮小効果は85%にみられ、少量投与群との間に有意な差をみとめた。担癌臓器を標的とした選択的癌化学療法にこうした人工臓器的手法が十分応用できるものと考えられる。
  • 岡野 光夫, 阿岸 鉄三
    1989 年 18 巻 1 号 p. 48-49
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 大越 隆文, 野一色 泰晴, 冨澤 康子, 森島 正恵, 小柳 仁
    1989 年 18 巻 1 号 p. 50-53
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    理想的な心臓壁補填材料の開発を目的としてコラーゲン被覆超極細ポリエステル繊維製メッシュ(CUFP-1)を開発し, 動物実験にて, 易縫合性, 抗血栓性, 新生内膜固着性に関し, グルタールアルデヒド処理馬心膜よりも優れていることを既に報告した。CUFP-1ではコラーゲンを自然乾燥していたが, 今回は, コラーゲンの凍結乾燥法を導入したCUFP-2を作製した。そして成犬の右室流出路に両者をパッチとして縫着し評価した。両者とも手術操作性は優れていた。肉眼所見では, 両者とも殆ど血栓形成はなかった。光顕所見では, CUFP-2はCUFP-1よりも, 新生内膜形成および材料壁再構築がさらに促進された。CUFP-2のコラーゲンは緻密な多孔性の立体構造を持ち, 細胞の侵入, 増殖に有利である。CUFP-1は70%エタノール消毒, 保存されていたが, CUFP-2はエチレンオキサイドガス消毒が可能となり, 保存もより簡便にできた。
  • 北村 たかね, 松田 武久, 阿久津 哲造
    1989 年 18 巻 1 号 p. 54-58
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ハイブリッド型人工血管を構成する人工基底膜の設計の基礎を得る為に血管壁細胞の材料表面への接着機構を検討した。最近、多くの細胞と細胞接着性蛋白質が最小接着活性部位であるArg-Gly-Asp (RGD)を介して接着していることが明らかになった。この合成ペプチドはレセプターに対し接着性蛋白質と競合的に働くと考えられる。そこでI型コラーゲンへの血管壁細胞(内皮細胞, 平滑筋細胞)の接着を合成テトラペプチド(RGD-Ser: RGDS)を用いて検討した。RGDSの添加により血管壁細胞のI型コラーゲンへの初期接着及び伸展は濃度依存的に阻害された。一方、接着した細胞に対するRGDSによる剥離効果は初期接着時において顕著であった。以上より血管壁細胞の接着・伸展にはRGDレセプター・リガンド機構が特に初期接着時に支配的であることが示され、人工基底膜の設計の基礎を与えた。
  • 林 智人, 阿岸 鉄三, 海老原 和正, 早坂 勇太郎, 福井 清, 増田 利明
    1989 年 18 巻 1 号 p. 59-62
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生物学的試験法により既存する12種の人工高分子膜材料の評価を細胞増殖および細胞形態観察から行ない, 生体適合性さらにはHybrid型人工臓器の細胞基質として有効性を検討した。細胞は当センターで株化した腎癌細胞(TWK-22)を用い, それを試験膜材料を入れた60mm cell culture dishに2.5×104 cells/5mlとなるように直接播種, 培養し経時的な記録を得た。膜材料により細胞増殖性は, 生体適合性との関連が予想される4タイプに分類された。すなわち, タイプIは最も細胞増殖を支持するものであり次いてタイプIIとなる。タイプIIIは細胞数に変化を示さず, タイプIVは滅少傾向を認めるものである。また, 走査型電子顕微鏡を用いた形態観察からもそれぞれのタイプにおいて異なった細胞形態が示された。これらの結果から, 本法を用いることにより人工高分子膜材料の生体適合性の評価ならびに数種の膜材料がHybrid型人工臓器細胞基質として使用可能であることが示唆された。
  • 増子 早苗, 保坂 俊太郎, 内田 隆史, 丹沢 宏
    1989 年 18 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    医用材料が, 好中球に及ぼす影響について, ルミノールの化学発光を用いて検討した。医用材料としては, PMMA, セルロース, PEO(ポリエチレンオキサイドの側鎖をもつ共重合体)の膜を用いた。膜は素材だけでなく, 血漿蛋白質(血漿, アルブミン, γーグロブリン)で処理したものも用いた。好中球が膜と接触した時に, 細胞外に放出された活性酸素はルミノール溶液で, 食胞に放出された活性酸素はルミノール結合微粒子で測定した。活性酸素放出量は, 材料の種類及び血漿蛋白質処理によって大きく変化した。その際, ルミノール溶液とルミノール結合微粒子による測定結果は, 逆の傾向を示した。ルミノール溶液とルミノール結合微粒子による好中球の活性酸素放出測定は, それぞれ異なった情報を与えるので医用材料の生体適合性評価に役立つと考える。
  • 須田 匡, 戸辺 成四郎, 赤池 敏宏
    1989 年 18 巻 1 号 p. 67-70
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血小板は血栓形成ばかりでなく、多くの増殖因子を放出することにより組織修復や細胞増殖にも重要な役割を担っていることから、材料設計によって活性化を制御出来れば細胞培養工学等へ応用が期待される。しかし血小板の特異的活性化と高分子材料による非特異的活性化との相違についてはほとんど研究されていない。本研究では、特異的相互作用サイトとしてArg-Gly-Asp-Ser (RGDS) レセプターに、非特異的相互作用サイトとしてシアル酸に注目し、カチオンポリマーとの相互作用における両者の役割を検討した。ポリマーに対する血小板の応答にRGDSレセプターは関与していなかった。シアル酸脱離50%以上で接着率が低下し、カチオンポリマーへの接着には数個のシアル酸が共同で働いていると考えられた。このことから、血小板とカチオンポリマーとの相互作用は特異的相互作用サイトの働きによるものでなく、シアル酸との非特異的な相互作用によるものと考えられた。
  • 片岡 一則
    1989 年 18 巻 1 号 p. 71
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 夏目 徹, 日野 常稔, 清水 慶彦
    1989 年 18 巻 1 号 p. 72-75
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    コラーゲンを医用材料として用いる場合、その生体内での消化性と安定性を制御する目的で、架橋処理を行う事は不可欠である。今回、我々は新しい試みとして、還元糖を架橋剤としてMaillard反応を利用して、コラーゲンの架橋を行った。乙の反応はタン白の非酵素的糖化反応で、生体内タン白のagingと関係しており近年注目を集めている。数種の還元糖を用いてキャスト法によって得たコラーゲンフィルムの架橋を行なったところ、リボースが最も架橋効果が大きかった。そこでリボースを架橋剤として適当と考え、リボース処理を行ったフィルムの物性についてGA架橋フィルムと比較したところ、引張強度、伸び率ともにリボース架橋が優れていた。また、この処理によってコラゲナーゼに対して高い耐溶解性も示した。コラーゲン同様生体内物質であるリボースを用いて、生理的反応を利用するこの架橋法はコラーゲンを医用材料として用いる場合非常に有効であると思われた。
  • 清水 慶彦, 平井 圭一, 日野 常稔
    1989 年 18 巻 1 号 p. 76-79
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体内埋植用合成高分子材料の組織親和性を向上させるために、proctase処理ウシ皮膚由来I型collagenで材料表面を修飾した。組織親和性をみるためにラットの皮下に材料を埋植して腫瘍形成率を比較した。無処理のpolyethyleneフィルム(10×20×0.5mm)を80枚、collagen処理polyethyleneフィルムを80枚、雌雄各20匹、計40匹のWister系ラットの脊部皮下組織内に埋植して2年間観察した。無処理のPEフィルムの方が早くから発癌し、collagen処理PEフィルムの方が潜伏期が延長した。腫瘍形成率は2年間で、無処理PEフィルムで31/80(38.8%)であったのに対して、collagen処理PEフィルムでは14/80(17.5%)であり有意に低かった。発生した腫瘍は線維肉腫および悪性線維性組織球腫であった。以上の結果から合成高分子材料をcollagenで表面修飾することにより材料の組織親和性が向上すると考えられた。
  • 大前 博昭, 岡崎 正之, 日野 常稔
    1989 年 18 巻 1 号 p. 80-83
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    骨に類似した非焼結炭酸アパタイトCO3-Apを骨補填材として応用するためにI型アテロコラーゲンと混合して成形性を賦与し、さらにUV照射とフィブリン化処理によって補填材の形状の保持を試みた。アパタイト・コラーゲン複合体は、4時間以上のUV照射により溶解性が著しく減少し形状の保持がよくなったが、フィブリン化処理による強度の増強は認めなかった。ラットおよび家兎の頭蓋骨骨膜下にアパタイト・コラーゲン複合体を埋入したところ、フィブリン化処理した試料ではUV照射のみ行った試料よりもさらに形状の保持は良く、骨表面から針状に生じた新生骨様の像を示すものがあった。
  • 高井 信治, 鈴木 好夫, 大坪 修
    1989 年 18 巻 1 号 p. 84-87
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    新たに開発されたアルミゲル(Al-Gelと略す)は化学式AlO(OH)・nH2O(0≤n<1)によって表され、化学吸着によりリンを吸着する能力をもつことが明らかとなった。一方、無定形AHG、Al(OH)3などは化学吸着でリンを吸着するが、本研究では、Al-Gelが低投与量によりリンを吸着するという特異的な能力をもつことを実証した。従来のリン酸吸着に比較して患者の高リン酸血症の治療薬として有効と思われる。
  • 秦 美治, 青木 秀希, 吉山 直樹, 辻 隆之, 戸川 達男
    1989 年 18 巻 1 号 p. 88-91
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体親和性にすぐれているとされる3種のバイオセラミックス、ハイドロキシアパタイト,β-リン酸三カルシウム及びガラス状カーボンをボタン型に成形し, 成犬皮膚に経皮的に埋入した。2, 4, 12及び32週後に摘出し, 周囲皮膚の組織反応をみた。ハイドロキシアパタイト及びβ-リン酸三カルシウムはいずれも皮膚とよく密着していた。また感染や炎症による細胞浸潤はほとんどみられなかった。一方、ガラス状カーボンは逆にほとんどが感染によると思われる重篤な細胞浸潤を引き起こした。以上より, ハイドロキシアパタイト及びβ-リン酸三カルシウムはガラス状カーボンと比べて皮膚組織と極めて親和性のよいこと, 及び経皮端子として極めて有効であることが示唆された。
  • 今井 庸二
    1989 年 18 巻 1 号 p. 92
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 宮田 暉夫, 古瀬 正康, 野一色 泰晴, 山根 義久
    1989 年 18 巻 1 号 p. 93-96
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体内で分解され、吸収されつつ、ヘパリンを徐放出することで抗癒着性を発揮する、柔軟なコラーゲン製の癒着防止膜の開発を行った。その素材としてはヒト羊膜を用い、細胞成分を脱落させたあと、柔軟性、親水性および細胞親和性を賦与するため、親水性エポキシ化合物で架橋した。膜の吸収速度は架橋率を変えることでそれを制御した。ヘパリンの徐放出は、抗血栓性人工血管の作成に用いている、プロタミンを介してヘパリンをイオン結合させる方法を採用した。作成した膜は半透明で柔軟性があり、取り扱いが容易であった。動物実験として、成犬大腸漿膜を5cm平方にわたって剥離し、ここに作成した膜を縫着したところ、完全に癒着を阻止することができたとともに、植え込み後4ヶ月で膜はすでに吸収されており、代って天然の抗癒着性を有する漿膜細胞が創面を覆っており、創は永久的な抗癒着性を獲得することとなった。膜が体内で吸収されることより、本癒着防止膜は脳や肺、腱といった広い領域での応用が期待される。
  • 山岸 真理, 瓜田 雷己, 中西 克彦, 小松 作蔵
    1989 年 18 巻 1 号 p. 97-100
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    種々の医用材料が、これまで再手術を行い易くするために代用心膜として用いられてきた。今回、現在入手しうる代用心膜のうち、どの材料が心膜癒着防止に適しているか実験的に検討した。代用心膜としてつぎの5種類を選んだ。すなわち、グルタールアルデヒド処理ウマ、ウシ、ブタ心膜、シリコンラバー、expanded polytetrafluoroethylene (EPTFE) 心膜用シートである。これらを雑種成犬の心膜の一部に置換した。ウマ、ウシ、ブタ心膜などの異種心膜は、組織学的にも器質化の所見が認められ、心膜癒着防止の目的には不適当と思われた。シリコンラバーは、癒着は少ないが、心外膜の反応が強いため、心臓表面の微細構造の識別を要する再手術には不向きと思われた。EPTFE心膜用シートは、癒着、心外膜の反応とも、特に優れた結果は得られなかったが、組織学的に器質化の所見を認めず、有用と思われた。
  • 中村 達雄, 渡部 智, 清水 慶彦, 玄 丞烋, 筏 義人, 人見 滋樹, 北野 司久, 松延 政一, 玉田 二郎
    1989 年 18 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体内分解吸収性のプレジェットをポリグリコール酸不織布より製作した。この安全性、気管気管支外科における有用性を動物実験にて確認した後、呼吸器外科手術で肺瘻気管支瘻胸膜欠損部に使用してその安全性、操作性を検討した結果を報告する。
    気管気管支系に11例、肺瘻、胸膜欠損部に39例、計50症例に用いた。従来のテフロンプレジェットと比較して操作性作業性に優れ、臨床効果でも空気漏れ防止効果、止血効果、縫合部補強効果を検討したが、十分満足のいく成績であった。特に気腫性肺病変症例に対しては、術後エアーリーク持続期間の短縮がみられた。副作用及び愁訴はいっさい認められなかった。本材料は臨床的に有用であると考えられる。
  • 佐藤 ゑみ, 木戸 友幸, 杉立 彰夫
    1989 年 18 巻 1 号 p. 105-108
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々の開発した新しい創傷治癒促進材料G. T. XIIIは組織吸収性ゼラチン(G)を担体として, トロンビン(T)とFactor XIII(XIII)を凍結乾燥法により固定化, 作製したものである。今回, 酢酸によるラット潰瘍モデルを作製し, 本材料を局注し治療を試みた。潰蕩作製3日後直視下にG. T. XIIIゾルを注入, 切開創は縫合閉鎖した(治療群)。対照群は潰瘍作製後, 無処置のものとした。治療後3, 14, 21, 28日目に各々潰瘍部分を肉眼的に観察, 治療効果の判定を行い, 組織学的検討を行った。
    治療群のラットは全例潰瘍が消失し, 組織学的には一旦生じたU1-Wでも3日目には肉芽組織で修復され, 穿孔が防止された。そして21日目には再生上皮で覆われていた。一方対照群は14例中5例が潰瘍穿孔により死亡, 生存例も治療群に比べ, 肉芽組織の増生は遅れていた。G. T. XIIIの局注は潰瘍部分において早期から肉芽組織の増生に寄与し, 有力な潰瘍治療法の1つとして大いに期待されることが示唆された。
  • 春臼 輝明, 中尾 昭公, 高木 弘, 二見 精彦, 野口 法康
    1989 年 18 巻 1 号 p. 109-112
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    今回我々は門脈遮断時に門脈血を肝内に直接流入させるため, 従来のアンスロン門脈バイパス用カテーテルのー端にバルーンを取り付けた改良型門脈バイパス用カテーテル(バルーン付きアンスロンカテーテル)を開発した。これを用い雑種成犬で上腸間膜静脈-肝門部門脈バイパスを施行したところ, バイパス中上腸間膜静脈圧が上昇した以外術中の血行動態は安定しており, 肝機能, 凝固線溶系もほとんど変化せず実験犬は長期生存した。臨床では膵癌症例にこのカテーテルを用いて上腸間膜静脈-肝門部門脈バイパスを行い門脈合併拡大膵頭十二指腸切除を施行したが, 術中の血行動態は安定しており術後も良好な経過をたどった。
  • 赤松 功也
    1989 年 18 巻 1 号 p. 113
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 松田 武久, 井街 宏, 阿久津 哲造
    1989 年 18 巻 1 号 p. 114-118
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    国内外で開発中あるいは企業化されているセグメント化ポリウレタン7種類のin vitro統一評価を行なった。結果を要約すると, 1) 凝固・補体両系とも極表面層の窒素(ハード成分)の増大と共に, 活性化は大きくなった。2) 全血凝固性と体液性生体系活性化は連動していた。3) 内皮細胞と血小板が同じ接着機構によるものであることに注目して, 内皮細胞の接着・増殖性より血小板粘着の時間的変動を見積ることができることを指摘し, 細胞付着型と非付着型表面に大別できた。非粘着型は接着性蛋白質を吸着しない材料であるといえる。4) in vitroで生体活性化が最も小さい材料はin vivoで最も良好なる評価を与えたが, 他の順列では相関はなかった。in vitro評価の結果のin vivoへの拡張については限界があることを示した。
  • 門磨 義則, 今井 庸二
    1989 年 18 巻 1 号 p. 119-122
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    生体内にセグメント化ポリウレタン(SPU)を長期間埋植した場合のSPUの諸性質(分子量分布、表面の化学構造、引張強さ、伸び)の変化を明らかにするために本研究を行なった。SPUのフィルムをラット背部皮下に3~26月間埋植した後に回収したフィルムに対してGPC分析、ATR-IR分析、引張強度試験を行なった。SPUの分子量は20月埋植後にはかなりの低下が示唆された。20月埋植後のSPUフィルム表面のATR-IRスペクトルにおいて、ウレタン結合の吸光度の減少及びアミンの生成が認められたことから、埋植中にSPUのウレタン結合が分解することが示唆された。引張強さは埋植3月後に32%低下したが、それ以降はほぼ一定の値を示した。伸びは26月埋植後においても統計的な有意差は認められなかった。SPUの生体内埋植中の分解が示唆されたが、これの引張強さや伸びへの影響は認められなかった。
  • 秋田 倫秀, 村林 俊, 下岡 聡行, 勇田 敏夫
    1989 年 18 巻 1 号 p. 123-126
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来、石灰化現象は生体弁や偽内膜生成表面で起こると考えられてきたがセグメンテッドポリウレタン等の平滑表面を有する材料でも石灰化の報告がある。特に人工心臓のダイアフラムにおける石灰化については、クラック、マイクロバブルの存在部位に直接石灰化するのか、血栓や細胞成分などの影響によるものなのか不明な点が多い。本研究では、多孔質化したセグメンテッドポリウレタンをin vitroで牛血清に浸漬し、石灰化の有無を検討した。石灰化はin vitroでも生じ、稼動によるストレスや血液中の細胞成分に依存しない石灰化機構の存在を明らかにした。また、PMMAやシリコン等の材料でも石灰化することを見いだした。
  • 新谷 英晴, 中村 晃忠
    1989 年 18 巻 1 号 p. 127-130
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    熱可塑性ポリウレタン(PU)中の4, 4'-ジアミノジフェニルメタン(MDA, 別名メチレンジアニリン、発がん物質)の定量法を確立し、放射線ならびに高圧蒸気滅菌したときのMDA生成とPUフィルムからメタノールおよび血清へのMDAの溶出について検討した。使用したPUは次の2系統である。すなわち、PU-1-3: 4, 4'-ジフェニルメタンジイソシアネ-ト(MDI)とポリテトラメチレングリコール(PTMG)のポリマー;PU-4-6:MDI/PTMGプレポリマーを1, 4-ブタンジオールで鎖延長したポリマーである。放射線滅菌(10Mrad)以下の場合、PU-1-3およびPU-4-6ともにMDAの生成は見られなかった。他方、高圧蒸気滅菌(121度、30分)の場合、PU-4-6ではMDA生成は認められなかったのに対し、PU-1-3ではMDAの生成が認められた。PU-1-3のフィルムから血清に溶出するMDAの量はメタノールへの溶出量とほぼ同じ程度であった。
  • 林 紘三郎
    1989 年 18 巻 1 号 p. 131
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 伊藤 哲雄, 松田 武久
    1989 年 18 巻 1 号 p. 132-136
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究は熱変性や化学変性を受けやすい細胞・組織あるいは生理活性物質と共存下で、生理機能や活性を損傷せずに包理あるいは接着できる医療用光硬化性樹脂を開発することを目的とした。分子設計したプレポリマーはポリオール両末端をキャップしたジアクリレートであり、ポリオールの分子量や組成、あるいは光重合開始剤や増感剤および重合性モノマーを選択することによって広範囲に物性を制御できた。ここで開発した光硬化性液状樹脂は、光照射によって水の存在下でも数分以内にゲル硬化物が得られ、硬化物は柔軟なエラストマーであり組織に対する密着も良好であった。これらの特徴を生かした医療分野への応用として外科用接着剤、創傷治癒母材およびドラッグデリバリー母材としての可能性を明らかにした。
  • 長江 偉, 松田 武久, 阿久津 哲造
    1989 年 18 巻 1 号 p. 137-140
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究では親水性のスペーサー(ポリエチレングリコール;分子量;400-5,000)を有するカップラー(活性エステル基)剤を分子設計し、蛋白質の高分子化、化学修飾の試薬としての効果を意図し、反応試薬のパラメーター、反応条件の最適化を検討した。活性エステルとしてコハク酸イミド、ペンタクロロフェノール及びイミダゾールを用いた。化学修飾および高分子化反応は反応試薬濃度の増大、アルカリpH領域、スペーサーの分子量の増大、及び多官能性によって著明に増加した。標的蛋白として用いたSODでは、酵素活性は修飾率に一義的に決定され、スペーサーの分子量、官能性には依存しなかった。分子量の増大と共に血中半減期は著明に延長した。高分子化効果による血中半減期の延長は多官能性とスペーサーの増大によって、効率よく達成された。
  • 石井 豊, 遠藤 善裕, 谷 徹, 吉岡 豊一, 松田 孝一, 青木 裕彦, 沼 謙司, 阿部 元, 玉川 正明, 花沢 一芳, 小玉 正智 ...
    1989 年 18 巻 1 号 p. 141-144
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    非溶出性の抗菌材料として第3級アミン、第4級アンモニウム塩を固定化した材料及びポリミキシンB固定化材料等がある。これらの抗菌材料は細菌に対しては抗菌活性を有するが抗真菌活性は殆どなかった。ただ、高麗らはアンモニウムヘッドに硫黄を導入したチアゾール型の第4級アンモニウム塩にて抗真菌活性を認めたのみであった。今回、我々は一般の殺菌消毒に使用されている塩素及びよう素をポリスチレン繊維に固定化した材料をCandida及びSaccharomycesに接触させその抗真菌活性について調べだ。その結果、一般の抗菌検定に用いられている菌浮遊液濃度106CFU/mlでは明かな抗真菌活性が認められ、よう素固定化繊維(以下ヨード化糸)は強力な抗真菌活性を有することがわかった。しかし、菌浮遊液の濃度がより高くなると抗真菌活性は若干弱くなった。これらの材料を浸した上清を真菌と接触させたところ真菌数の低下は認められず、非溶出性の抗菌材料であると考えられた。
  • 藤原 俊義, 阪上 賢一, 松岡 順治, 塩崎 滋弘, 内田 晋, 斎藤 信也, 羽井 佐実, 折田 薫三
    1989 年 18 巻 1 号 p. 145-149
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    IL-2mini-pelletをマウスMeth A腫瘍の近傍の皮下に投与しその抗腫瘍活性について検討したところ、IL-2mini-pellet単独の場合もLAK細胞を同時に投与した場合も同様に明らかな増殖抑制効果と生存期間延長効果が認められた。次に作用機序の解析のため、IL-2mini-pellet投与後の担癌マウス脾細胞の細胞障害活性の変化を測定した。NK・LAK活性いずれも治療開始後1日目より上昇し2日目にピークに達した。さらに治療後の腫瘍組織に対してmonoclonal抗体を用いた免疫組織学的染色を行ったところ、LAK細胞を同時に投与した場合1日目よりリンパ球浸潤がみられ、IL-2mini-pellet単独投与では7日目にThy1+細胞とASGM1+細胞が多く浸潤していた。すなわちIL-2mini-pelletによりin vivoでLAK細胞が誘導された可能性が示唆された。IL-2mini-pelletはLAK細胞養子移入療法への応用はもちろん、単独投与でも有効な抗腫瘍効果を発揮できると考えられる。
  • 松田 武久
    1989 年 18 巻 1 号 p. 150
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 大崎 健一, 小西 淳, 後藤 彰久, 小出 幹夫
    1989 年 18 巻 1 号 p. 151-154
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    コラーゲンを主材料とした三層構造を持つ人工皮膚を作製し, ラット皮膚全欠損層に「移植」して, 組織学的に検討した。
    本研究では, 化学架橋を施さない線維化アテロコラーゲンと熱変性アテロコラーゲンの複合物からなるスポンジが, ラット皮下で早期に線維芽細胞を呼び込み, 自身も疑似真皮様組織に変貌することに着目し, その高度な細胞親和性を利用している。
    その結果, 単に真皮に類似した組織の形成にとどまらず, 表皮再生がなされ, それと共同作用のもと, 「基底膜」とrete ridge構造をも完成させることが判明した。これは真の意味で, 「人工皮膚」と呼ぶにふさわしいものであると考えられる。
  • 小西 淳, 後藤 彰久, 大崎 健一, 小出 幹夫
    1989 年 18 巻 1 号 p. 155-158
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    酵素処理して抗原決定基(テロペプチド)が除去されたアテロコラーゲン(AC)をベースに、AC溶液を37℃で4時間中和処理した線維化アテロコラーゲン(FC)、及びAC溶液を60℃で30分加熱処理した熱変性アテロコラーゲン(HAC)の適宜組合せによるマトリックスに各種の架橋処理を施した材料を作製し、物理的・生化学的及び組織学的に検討した。熱脱水架橋(DHT)を短時間施したFC-HACマトリックスをラットの背部皮下に埋入した結果、埋入3日目では検体は良く膨潤し、早くも線維芽細胞の侵入を認め、1~2週間目では摺曲状の「疑似真皮」様組織を形成したのに対し、FC単独や化学的な架橋を施したマトリックスには初期に好中球やマクロファージなどの炎症性の細胞の浸潤が多く認められた。FC-HACマトリックスは異物反応を励起せぬままそれ自身が真皮に類似した組織に変化しており、浸潤した好中球がきわめて自然に線維芽細胞に置き換わったためと考えられた。
  • 飯田 和利, 坂本 永吉, 松田 武久
    1989 年 18 巻 1 号 p. 159-166
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液接触医療器具に適用する目的で、セグメント化ポリウレタンに化学修飾を行い、血液接触表面における化学修飾基の挙動と生体成分との応答性の関係を調べた。化学修飾は、均一系反応及び不均一系反応により疎水性長鎖アルキル基の導入を、均一系反応により親水性ポリオキシエチレン鎖の導入を行った。血液接触表面の物理化学的性状は、X線光電子分析(ESGA)、接触角測定により検討した。また、生体応答性は、多血小板血漿(PRP)、洗浄血小板PBS懸濁液を用いて検討した。
    疎水性長鎖アルキル基を導入したポリウレタンについては、均一反応系、不均一反応系の両者において導入基の極表面濃縮がESCAにより観測されたが、接触角測定より、均一反応系においては、水界面における導入基の再構成による親水性の増大が認められた。不均一反応系においては、水界面における疎水性の保持、蛋白質を介した血小板の粘着抑制現象が認められた。親水性ポリオキシエチレン鎖を導入したポリウレタンについては、導入量増大に伴い、親水性の向上、血小板の粘着抑制が認められた。
  • 三上 正人, 長岡 昭二, 高橋 将人, 二見 精彦, 野口 法康, 冨澤 康子, 山根 義久, 野一色 泰晴
    1989 年 18 巻 1 号 p. 167-170
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    近年、Swan-Ganzカテーテルを用いた心拍出量の測定が広く行なわれている。しかし、血栓形成に起因する合併症あるいはセンサー機能の経時的劣化が数多く報告され問題となっている。我々は、合併症の発生を抑制し安定なモニタリングを行なうために親水性ヘパリン化材料(アンスロン®)をコートした抗血栓性心拍出量測定カテーテルを試作し動物実験でその有用性を検討した。比較としてはポリ塩化ビニル製の市販品を用いた。各6例の動物実験の結果、抗血栓性心拍出量測定カテーテル表面には全く血栓形成は認められなかった。一方比較として用いた市販品の表面には6例全てに強固な赤色血栓の付着が見られた。さらに、抗血栓性心拍出量測定カテーテルでは3日間安定した心拍出量の測定ができたのに対し市販品ではセンシング部分の血液成分の付着によりセンサー機能の低下が認められた。
  • 板岡 俊成, 神楽岡 治彦, 毛井 純一, 横山 正義, 新田 澄郎, 岡野 光夫, 桜井 靖久
    1989 年 18 巻 1 号 p. 171-174
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    抗血栓性材料(HS polymer)にて外面被覆1した静脈内カテーテルを胸部外科手術症例にて臨床的に用い、その有用性を検討した。対象は胸部外科手術症例60例で、無作為にHS polymer被覆カテーテルと従来IVH用カテーテルを各々30症例に静脈内カテーテルとして使用した。
    両群間の抗血栓性に関してカテーテル抜去時の肉眼的観察にては差はなかなったが、走査電顕所見による検討にては、HS polymer被覆カテ-テル使用にて、有意に従来使用されていたカテーテルよりもカテーテル外面の血栓形成度が低くかった。また、IVHカテーテル留置に伴う血液性状変化に関しては両群間に差は認められなかった。
    以上より、抗血栓性を有するHS polymerを被覆することで、よりIVHカテーテルの抗血栓能を高め得たものと考えられた。
  • 馬場 雅人, 安喰 弘, 菊池 洋一, 山岸 真理, 浅井 康文, 小松 作蔵
    1989 年 18 巻 1 号 p. 175-178
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    教室において過去3年4カ月間に、EPTFE (Gore-Tex) patchを用い心内欠損孔閉鎖及び右室流出路再建術を施行した小児先天性疾患症例124例に臨床的検討を加え、併せて遠隔期のpatchを病理組織学的に検討した。
    早期死亡11例(8.9%)、遠隔期死亡2例(1.8%)を認めたが、patchに起因する死亡は認めなかった。また溶血、血栓塞栓症、patchの動脈瘤様拡張の合併症もなく良好な結果を得た。
    右室流出路形成術後1年6カ月を経過したpatchの病理組織学的検討では、patchの基質化、良好な新生内膜形成を認め、異物反応がないことより、組織適合性に優れ、安全性が高いことが確認された。
    以上より本材質は心臓補填材料として有用であると考えられた。
  • 有馬 美則, 大畑 正昭, 大森 一光, 北村 一雄, 中村 士郎, 名取 宏, 瀬在 幸安
    1989 年 18 巻 1 号 p. 179-182
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    形状記憶合金の生体における組織適合性を調べるために生体埋没移植実験を行った。対照としてキュルシュナー綱線を用い, 2頭の犬の背部皮下に埋没移植し, 移植後2週, 4週, 8週, 4カ月および6ヵ月に周囲組織とともに摘出し, 組織学的に検討した。2週後では両群ともに炎症反応は強く, 4週後で被膜を形成し, 8週以降は両群ともに炎症反応も異物反応も認められなかった。
  • 清水 慶彦
    1989 年 18 巻 1 号 p. 183
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 前田 雅道, 佐々木 進次郎, 村木 宏要, 小玉 敏宏, 福田 幸人, 大関 道麿, 武内 敦郎
    1989 年 18 巻 1 号 p. 184-187
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    体外循環下に人工血管が置換された状態のモデルを作製し、UBE Woven-Graftのporosityの特性をプレクロティング別に検討した。全血によるプレクロティングの漏出量は灌流開始直後1.15ml/分、60分後0.32, アルブミン処理では開始直後25.3ml/分、60分後2.1, プレクロィングなしのものでは3.5ml/分、1.62であった。
    灌流後、各群のグラフトの走査電顕所見では血漿成分の付着が認められ、その程度は全血処理群に顕著に認められ、アルブミン処理ではわずかであった。
    各群の漏出量は時間的経過とともに減少傾向を示し、一定値に近づくものと思われた。走査電顕所見では グラフト両面の血漿成分によるコーティングと繊維間のめづまりにより、プレクロティングがなされるものと思われこの変化は外面から内面へ進展すると示唆された。
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