人工臓器
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合成高分子材料埋植による発癌とcollagen被覆による発癌抑制
清水 慶彦平井 圭一日野 常稔
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1989 年 18 巻 1 号 p. 76-79

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抄録

生体内埋植用合成高分子材料の組織親和性を向上させるために、proctase処理ウシ皮膚由来I型collagenで材料表面を修飾した。組織親和性をみるためにラットの皮下に材料を埋植して腫瘍形成率を比較した。無処理のpolyethyleneフィルム(10×20×0.5mm)を80枚、collagen処理polyethyleneフィルムを80枚、雌雄各20匹、計40匹のWister系ラットの脊部皮下組織内に埋植して2年間観察した。無処理のPEフィルムの方が早くから発癌し、collagen処理PEフィルムの方が潜伏期が延長した。腫瘍形成率は2年間で、無処理PEフィルムで31/80(38.8%)であったのに対して、collagen処理PEフィルムでは14/80(17.5%)であり有意に低かった。発生した腫瘍は線維肉腫および悪性線維性組織球腫であった。以上の結果から合成高分子材料をcollagenで表面修飾することにより材料の組織親和性が向上すると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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