人工臓器
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Hollow fiber型人工肺の血液学的検討: 内部灌流, 外部灌流の差異について
阿部 裕之岡田 忠彦鎌田 聡日向 三郎三枝 隆保尊 正幸川田 忠典山手 昇
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1989 年 18 巻 2 号 p. 1038-1042

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抄録

Hollow fiber型膜型肺の内部灌流式とその発展型である外部灌流式との間の血液成分に対する生体適合性の差異について比較検討した。内部灌流式使用群5例(I群), 外部灌流式使用群9例(II群)に分け, 血小板については血小板数, 凝集能, β-TG, PF4, 凝固線溶系についてはFPA, FPBβ, FDP, Fibrinogen, AT III, 溶血度についてはLDH, 遊離ヘモグロビンを経時的に測定し, 特に体外循環開始早期のこれら諸指標の比較分析を行った。その結果, 血小板の質量変動については両式肺で差はなかったが体外循環初期の血小板放出反応抑制度についてはII群が優れていた。凝固系に関しては体外循環開始早期のみ一時的FPA上昇はI群でやや高率であり, 線溶系も活性化された。溶血に関しては両式肺で差がみられなかった。外部灌流式は心内操作の加わる前の体外循環初期で, 血小板保護効果及び凝固系活性化の若干の抑制効果を認め, 血液学的生体適合性に関して内部灌流式より優れていると考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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