1989 年 18 巻 2 号 p. 1043-1046
人工心肺の恒久性を追求すると生体の浮腫は大きな問題点となる。浮腫については一般に脈管を介する水分移動の観点から説明される。今回の研究の目的はこの水分移動を連続的にかつ高い精度で追い, この機構解明を進めるために, そのDRIVING FORCEに関与する項目をできる限り多く連続的に測定する装置を開発することである。気泡型肺を用いた通常の人工心肺装置に(1)インピーダンス法によるヘマトクリットセル, (2)51Crでラベルした赤血球を数えるγシンチレーションカウンター, (3)半透膜を利用した血漿膠質浸透圧用針型圧力計の連続測定装置を組み込んだ。さらに人工肺のハンガーにロードセルを装着し, 人工心肺の回路内容量のモニターとし, その情報を元に回路内容量の制御を可能にすべくアナログコンピューターにてコントロールされる脱血用電動オクルーダーを開発した。これらの装置により水分移動を初めとする各種項目の連続測定が可能となった。