人工臓器
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補助循環施行時における肝静脈血酸素飽和度モニタリングの意義について
高野 弘志松田 暉中埜 粛酒井 敬大谷 正勝川口 章大竹 重彰松若 良介宮川 周士新谷 英夫井上 智勝川島 康生
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1989 年 18 巻 2 号 p. 435-439

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抄録
補助循環施行時における肝静脈血酸素飽和度モニタリングの有用性について検討した。補助循環施行症例4例(IABP2例, V-Aバイパス1例, 左心バイパス1例)において、肝静脈血酸素飽和度(ShvO2)のモニタリングを行った。IABPの1例とV-Aバイパス症例ではShvO2は65%以上の高値をとり、肝障害を認めなかった。左心バイパス症例では、ShvO2は肺高血圧発作時に一過性に低下した以外は40~70%で推移し、術直後にみとめた肝障害は改善した。術後2~3日目以降ShvO2が低値(30%以下)を持続した他のIABP症例では、肝障害が遷延し、その後多臓器不全を発生した。動脈血一肝静脈血間で求めた過剰乳酸(splanchnic excess lactate)とShvO2との間に相関を認め、ShvO2が低下した状態においては、肝の乳酸代謝機能の障害が生じていることが示唆された。肝の循環維持からみた補助循環適用の決定ならびにその管理を行うことは重要と考えられ、このためにShvO2のモニタリングは有用となり得ると考えられる。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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