抄録
当教室で施行した小児開心術症例133例のうちIABPを術前, 術中, 術後のいずれかの時期に使用した8例を対象として小児に対するIABPの適応とその問題点につき検討した. 使用したバルーンカテーテルは東レ社製5例, SMEC社製3例, 容量は4mlから40mlであった. 圧波形上suprasystolic diastolic augmentationを認めたものは3例であり, うち2例はIABPからの離脱に成功した. 離脱不能例は右心系の術前評価に問題があったものが2例であり, 他の4例は積極的な流量補助が必要と思われた症例であった. 小児にIABPを施行する際には, 小児の大動脈の形状にあったバルーンカテーテルを用いること, IABP施行中の管理に際してはalphaadrenergic agonistの併用が重要と思われる. IABPの適応は成人例と同じく圧補助が原則であり, 流量補助を必要とする症例に対しては積極的に何らかの流量補助を早期に導入すべきと考えられた.