抄録
要旨 CAS 後の過灌流症候群発症の術前と術後の予測因子を明らかにし,SPECT とTCCS の有用性をretrospectiveに検討した.待機的CAS を施行し,SPECT とTCCS を術前と術後3 時間以内に施行した患者を対象とした.過灌流症候群の術前予測因子と術後予測因子を単変量と多変量解析で明らかにした.対象となった64 症例中で9 症例に過灌流症候群が出現した.過灌流症候群発症有無で分け,単変量解析で有意差のあった因子について,術前と術後で多変量解析を行った.術前因子で多変量解析すると術前MCA 平均血流速度(p<0.05)とCVR(p<0.01)が重要な過灌流症候群予測因子であり,術後因子で多変量解析すると術前後MCA 平均血流速度比(術直後MCA 平均血流速度/術前MCA 平均血流速度)(p<0.05)と小脳比(rCBF in the affected MCA territory/rCBF in the affect-sided cerebellum)術前後の差 (術後小脳比–術前小脳比) (p<0.05)が重要な予測因子であった.CAS 後の過灌流症候群発症を予測する上で,SPECT とTCCS は有用である.