人工臓器
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腎交感神経情報を用いた補助人工心臓至適駆動条件設定に関する実験的研究
山家 智之仁田 新一片平 美明薗部 太郎田中 元直佐藤 尚三浦 誠本郷 忠敬渡辺 孝毛利 平吉沢 誠
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1989 年 18 巻 2 号 p. 584-587

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抄録
VAD臨床例における長期生存を妨げる大きな要因の一つとして多臓器不全(MOF)の存在が注目されている。MOFの原因についてVAD駆動下の液性因子の研究は数多く行なわれているが, 神経学的な検討は殆ど行なわれていない。そこで今回我々はMOFの一環をなす急性腎不全に着目し, 腎前性腎不全の発生を予防するために, 腎血管抵抗に注目したVADの駆動条件設定について, 腎交感神経活動(RSNA)を直接計測して検討した。雑種成犬にLVADを装着し, 腎交感神経に電極を装着し, 様々な駆動条件下でのRSNAを比較した。RSNAはLVADの駆動開始とともに著しく抑制され, その後徐々に復帰したが駆動前よりは低値に安定した。駆動条件を変更して比較すると, co-pulsation mode (CoP) に比してcounter-pulsation mode (CP) にてRSNAが大きく抑制されていた。従つて, CPにてのLVAD駆動は腎血管抵抗を減少させ, 腎前性腎不全の予防に効果がある駆動法と推測された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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