人工臓器
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新しい発想による人工心臓ポンプ用弁(Jellyfish valve)の設計開発
井街 宏鎮西 恒雄阿部 裕輔満渕 邦彦前田 潔今西 薫米沢 卓実浅野 雅広藤正 巌渥美 和彦
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1989 年 18 巻 2 号 p. 637-640

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抄録
血液ポンプと一体化できる高分子製人工心臓用弁を新しい発想に基づいて設計した。この弁は多数の円孔あるいはスリットを設けた弁座の中心部に薄い高分子膜を固定するという単純な構造で、従来努力されてきた中心流を得るための弁構造とは発想を変え、環状流にすることにより構造や製作方法の簡易化と高性能化を同時に実現し得た。
直径3mmと4mmの孔を4個づつ設けた直径16mmの真鍮製弁座の中心に厚さ0.2mmのCardiothane膜を固定した弁を試作し、サック型人工心臓ポンプの流入・流出口に挿入し、模擬循環装置によりその種々の特性を調べBjork-Shiley (B-S)弁と比較した結果、(1) ポンプの流最特性は、同径のB-S弁を用いた場合のポンプ特性とほぼ'同じである、(2) 逆流特性は同弁より優れている、(3) 弁の中心部や辺縁部は良く洗われ流れの淀みがないなど人工心臓用弁として優れた特性を示した。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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