抄録
左心補助人工心臓(LVAD)駆動時、自己左室1回拍出量を動脈圧波形とLVAD拍出流速信号から連続的に推定することを目的に3種類の方法を考案し、模擬循環回路を使用して評価を行った。1法では動脈コンプライアンス、2法では末梢血管抵抗、3法ではインピーダンスをLVAD拍出毎に流量―圧関係として求め、自己左室拍出時の動脈圧波形を解析することにより、心拍毎に自己左室1回拍出量を推定した。実測拍出量と予測拍出量の間に各方法でr=0.84, y=1.13x+1.5 (ml), r=0.94, y=1.0x+4.0 (ml), r=0.94, y=1.0x+3.9 (ml)の良好な正の相関関係を得た。1法は他2法に較べやや相関性に劣ったが、この原因として、末梢動脈からの流出が考慮されていないことが挙げられる。また、3法では自己左室拍出による流速信号の予測も可能であり、本法により左心機能評価、不全心回復度判定等、LVAD使用中の循環管理がより向上するものと考える。