心臓
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第25回 臨床不整脈研究会
C型WPW症候群にマスクされていた先天性房室ブロックの 1例
坂部 茂俊神山 崇石山 将希森 一樹森脇 啓至佐藤 圭杉本 匡史堀口 昌秀高村 武志世古 哲哉笠井 篤信
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2013 年 45 巻 SUPPL.3 号 p. S3_81-S3_85

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抄録
 症例は15歳, 女性. 7歳時にC型WPW症候群と診断され, 当院小児科でフォローされていた. 11歳時に動悸を伴う失神があった. 心電図に頻拍発作は記録されなかったが, 房室回帰頻拍と考えフレカイニド投与が開始された. 高校に入学したのを機に, 高周波カテーテルアブレーションを希望し当科に紹介された. 心臓電気生理学的検査では冠静脈入口部, 右室心尖部からの期外刺激で房室, 室房伝導とも減衰伝導せずKent束の不応期は360msecだった. イソプロテレノール負荷下の期外刺激, 連続刺激でも頻拍発作は誘発されなかったが, Kent束に対するアブレーションに臨んだ. Kent束は三尖弁輪 6時に位置し, この場所で通電したところ約 6秒で一時的に完全房室ブロックになった. このとき補充調律として出現した心拍はnarrow QRSで32bpmだった. Kent束により房室伝導が代償されていたが, 完全房室ブロックが潜在したものと考えられた. 追加した検査では, ATP負荷で房室, 室房伝導ともに維持され, 12誘導心電図で波形の変化はみられなかった. His束電位は記録できなかったが傍His束ペーシングではnarrow QRS波形が得られた. Kent束には焼灼を加えず, ペースメーカーの埋め込みなしで経過をみることとした.
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© 2013 公益財団法人 日本心臓財団
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