抄録
補助循環中の心機能を評価することは障害心の回復経過, 及びその程度を知り補助循環からの離脱時期を決定する上で重要である. 補助循環中に障害心に負荷をかけることなく測定でき, 心室固有の特性の変化に反応する新しい指標(Pmax/Ped)を考案しその妥当性を雑種成犬14頭を用いて実験的に検討した. ドパミン5μg/kg/minを静注(n=6), あるいは心膜を切開し(n=8), それぞれ収縮期特性と拡張期特性を変化させPmax/Pedを測定した. Pmax/Ped値はドパミン負荷で19.0±7.0より28.6±12.6(p<0.02), また心膜切開にて33.5±6.2より43.8±9.8(p<0.01)へ有意に増加し, Pmax/Pedは心室固有の特性の変化に反応することが示された. 心室内圧を測定すればPmax/Ped値を指標として補助循環中の心機能の推移を連続的にしかも負荷を加えることなく評価できると考える.