工業化学雑誌
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ペクチンの第二鉄塩による分別凝析
広田 致
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1961 年 64 巻 1 号 p. 219-222

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抄録
ペクチン水溶液にFeCl3-炭酸アンモン系の鉄ゾルを加えて分別凝析させる場合の,凝析進行に伴なう鉄:ペクチンの結合比の変化および析出ペクチソの性質の変化を調べた。この際Feゾルの対ペクチン凝析力はそれを加えるペクチン液のpHによって変化する故,ペクチソ液のpHをFeゾルのそれと一致させて凝析を行ない次の結果を得た。
(1)Feゾルにより析出するペクチソ量は凝析終点に至るまでは添加鉄量にほぼ比例し,したがって鉄:ペクチンの結合比はほぼ一定であった。しかし終点を越えて更に過剰のFeゾルを加えて行く時は,すでに生成された含鉄ゲルに更に鉄が結合して,この結合比はFeゾルの過剰量に比例して増加する。この点は銅塩による凝析の場合と異なる。
(2)添加した鉄のうちペクチンに結合する鉄の割合は凝析終点の前後を通じてほぼ一定である。
(3)分別凝析により得られる含鉄ペクチソゲルを酸性アルコールで脱鉄して得られるペクチンの性質を調べた結果・凝析の進行に伴ない析出ペクチンの粘度は次第に増し,アルコールによる分別の場合と逆の傾向が認められた。また低エステル化度のものから先に析出する傾向,および各フラクションの純度の変化が少ない点もアルコール沈殿の場合と相違する。
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