抄録
現在臨床で広く使われているディスク弁の置換術後の機能評価は、そのX線シネフィルム読影により行われているが、定性的判断に限られる。我々はX線シネフィルムから弁解放角、弁の相対運動などをパーソナルコンピュータにより定量測定する無侵襲運動解析システムを開発した。
本システムは、ディスク弁でもよく用いられるMedtronic-Hall弁、Björk-Shiley弁、St. Jude-Medical弁を対象としている。X線シネフィルム上に撮影されたディスク弁像を1コマづつ輪郭抽出し、その楕円の方程式を決定し、ディスクの法線ベクトル、画面上での中心位置を求め、記録する。得られたデータを、解放角の時間変化、弁と弁座の動画表示などとして表示する。
臨床より得られたシネフィルム数例につき解析を行った。その結果、弁の解放角の不全の他、中には不整脈を呈しているものも見られ、定量的運動評価の有効性を確認できた。