抄録
1980年10月より1988年4月までの9年間に, 268例に対しSt. Jude Medical (SJM)弁による弁置換手術を行った。内訳は大動脈弁置換術(AVR)101例, 僧帽弁置換術(MVR)121例, 二弁置換術(DVR)46例である。全経過観察期間は1169pt-yrであった。術後30日以内の急性期死亡率はAVR 4.9%, MVR 7.4%, DVR 2.2%であった。急性期死亡を除く実測生存率はAVR 9年91.8%, MVR 9年91.5%, DVR 9年94.6%であった。血栓塞栓症はAVR2例(0.4%/pt-yr), MVR 3例(0.6%/pt-yr), DVR 2例(0.9%/pt-yr)であった。人工弁感染はAVR1例, MVR 1例。perivalvular leakはAVRで2例認められ, いずれも再手術を行った。明らかなleakのない溶血はDVRで1例みられたが, 臨床的には問題とならなかった。9年間のSJM弁による手術成績, 遠隔成績は良好で, 合併症も少なかった。