抄録
stent高の異なる2種のブタ異種生体弁, Hancock弁及びLiotta弁による僧帽弁置換術後遠隔期のprimary tissue failure (PTF)症例におけるevent free rate, 超音波ドプラ法による弁機能評価, 摘出弁の肉眼所見および軟X線所見に関し検索し両弁で比較検討した。
Liotta弁はHancock弁に比し, 高度の硬化狭窄性病変の出現以前の早期から弁尖破壊によるPTFの発生が高率であった。その原因としてstentのlwo profile化による弁尖のstressの増加が示唆され, low profile弁の耐久性に問題を残した。またstent creepingはHancock弁において弁機能不全の要因となりえ, stent改良の余地を残した。超音波ドプラ法による弁機能評価において, Hancock弁の血行動態はLiotta弁のそれに比し不良で, peak MNGよびMVAの両指標で有意差を認めた。なおpeak MVGは弁逆流に鋭敏に反応し, MVAは弁硬化狭窄性変化により相関する指標であることが示唆され, 本法の有用性を認めた。