人工臓器
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体外循環中の限外濾過の適応について
―特に適応の縮小とその後の使用血液削減の工夫について―
仲田 勲生斉藤 学高原 善治須藤 義夫村山 博和中村 常太郎長野 敏昭
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1989 年 18 巻 2 号 p. 885-888

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抄録
体外循環中の限外濾過の適応について検討した。対象は成人の開心術中24例である。まず限外濾過併用の効果について検討した。I群は限外濾過併用群, II群は非併用群で, 両群間の術後臨床経過に差は認められなかった。次に使用血液削減の目的で回路内希釈残血を全量点滴返血し, この効果について初期充填量がI, II群と同じ2440mlのIII群, 初期充填量が1920mlと減少したIV群を検討した。術後心, 肺, 腎機能では4群間に差は認められなかった。総使用血液量は平均I群10.4本, II群14.5本から, III群4.9本, IV群3.0本と有意に(p<0.01)減少した(200ml/本)。さらに体外循環中使用血液量はIV群が他の3群に比し有意に(p<0.05)減少した。使用血液量の削減は, 限外濾過ではなく, 充填量の削減・回路内残血の返血などによると考えられた。限外濾過の適応は(1)体外循環中の尿量2ml/kg/hr以下(2)体外循環中ヘマトクリット20%以下(3)術後十分な尿量が期待できない場合に限定した。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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