人工臓器
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非容積式血液ポンプ内蔵型溶血センサーの開発
伊藤 恭子田中 志信山越 憲一神谷 瞭
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1989 年 18 巻 2 号 p. 928-931

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抄録
体外循環中の溶血量(血漿遊離ヘモグロビン(Hb)濃度)連続計測を目的とした非容積式血液ポンプ内蔵型溶血センサのプロトタイプシステムを試作し、in vitro試験下に性能評価を行った。試作システムは血液ポンプに内蔵された血漿分離部及び血漿成分の吸光度を測定するセンサ部から構成されている。吸光度測定の為の光源にはピーク波長560nm高輝度LED, 受光素子にはPhotodiodeを使用し、センサ部の簡易構造化を図った。さらに酸素分圧変化の影響を取り除く為、干渉フィルタにより測定波長を等吸収点である540nm(半値幅: 12nm)とした。血漿分離にはディスク型フィルタを用し、非容積式血液ポンプ内の速度勾配を利用した簡便な分離法を考案し、最適フィルタ孔径の決定を行った。その結果、赤血球除去能、血漿分離速度及び吸光度測定の精度から、0.45μmが本システムに適した孔径であると考えられた。試作システムより得られたHb濃度を従来法との比較により精度検討を行ったところ、良好な相関関係が得られ体外循環中の溶血量測定システムとしての有用性が確認された。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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