人工臓器
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急性呼吸不全に対する外部灌流式ポリプロピレン製膜型肺による24時間pumpless ECMOの実験的検討
西村 理大森 一光石井 良幸名取 宏堀越 衞瀬在 幸安桑名 克之
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1989 年 18 巻 2 号 p. 949-952

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抄録
肺胞低換気(T, V. 10ml/kg, R. R. 5/min)による急性呼吸不全犬を作製し, これに対しわれわれが開発した小型で圧力損失も少ない外部灌流式ポリプロピレン製膜型肺(充填量約60ml, 膜面積約0.7m2)を用いたpumpless ECMOによる比較的長時間(24時間)にわたる呼吸補助を施行した。実験は肺胞低換気のみの群(G-1)とECMO群(G-2)の2群に分け検討した。G-1は著明な高炭酸ガス血症および低酸素血症を示し全例(5例)4時間以内に死亡した。G-2は高炭酸ガス血症および低酸素血症がECMO開始により改善され9例中4例が24時間生存し得た。血液学的検査ではHb値の経時的低下傾向を認めたが試作肺の炭酸ガス除去能は24時間後においても良好に保たれ, 急性呼吸不全特に高炭酸ガス血症の一治療法として比較的長時間の使用に耐えうる可能性を有する人工肺と思われた。又, 肺胞低換気時の骨格筋細胞を電子顕微鏡で検索し若干の知見を得たので報告した。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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