人工臓器
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小分子量蛋白質除去に関するconvective transportおよびdiffusive transportの有効性の比較
小早川 裕之新里 高弘高井 一郎藤田 芳郎森田 博之前田 憲志
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1989 年 18 巻 3 号 p. 1120-1123

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抄録

我々は, 関節痛を訴える長期透析患者36人に対し, Asahi PAN20CX2を用いたpush/pull HDFを6回施行し, 80.6%の患者で関節痛の著明な改善を認めた。一方, 同じhemodiafilterを用いて, 関節痛を訴える長期透析患者11人に対して, HDを6回施行したが, 関節痛の改善は認められなかった。次に, PAN20CX2を用いたpush/pull HDFとHDをそれぞれ10人の患者に施行し, 第1回目の治療におけるβ2-MG(M. W. 11800), lysozyme(M. W. 14500), prolactin(M. W. 22000), α1-microglobulin(M. W. 27000), α1-acid glycoprotein(M. W. 40000)の除去率を測定した。この結果, 同一物質の除去率はpush/pull HDFにおいて有意に高値であり, push/pull HDFとHDの除去率の差は分子量が大きくなるほど増大した。分子量が大きくなるにしたがい, 物質除去に対するconvective transportの寄与が大きくなると考えられる。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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