人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
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18 巻, 3 号
選択された号の論文の109件中1~50を表示しています
  • 瀬在 幸安
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1071
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―医学と工学のはざまで―
    土屋 喜一
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1073-1079
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 小柳 仁, 赤松 映明, 越川 昭三, 酒井 清孝, 水戸 廸郎, 山田 明夫
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1080-1083
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 藤田 嘉一, 福井 康裕, 前川 正信, 谷下 一夫, 江口 昭治, 三田村 好矩
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1084-1086
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 稲垣 豊, 天野 泉, 寺町 教詞
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1087-1092
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    FDL catheterを用いて血液透析を行った20例の内、4例が血流不足の為にA側とV側を逆に接続して使用した。この場合透析効率は30分の延長でシャント使用時とほぼ同じであった。
    透析中清潔にcatheterと回路の接続部を外しA側とV側を逆にするのは煩雑な操作であるので、新たにたすき掛け回路を試作し臨床応用した。continuous veno-venous hemofiltration(CVVH)用に新たに新型double lumen(DL)catheterと専用回路を考案した。DL catheterはFDL catheterに比べ静脈へばりつき現象が減少した。1例の急性腎不全においてこの装置を用い24時間CVVHを行ったが循環動態は極めて安定していた。
  • 天野 泉, 稲垣 豊, 岩城 保夫
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1093-1096
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    CAPDカテーテルやHD用外シャントでの台併症の1つとしてカテーテル周囲感染があり, 特に前者に対しては腹膜炎の予防対策上極めて重要な問題である。これを解決するため, 生体適合性に優れたアルミナセラミックを材料とした新しい経皮端子を作製した。このアルミナセラミック経皮端子の生体軟部組織への組織親和性と経皮的接合性について検討するため, 動物皮下への植め込み実験を行った。皮下植え込み2週後に見られた軽度な炎症反応は, 4週後には消失し, 界面には線維性結合組織の形成がみられたこと, そしてdown growth現象も極めて少いこと等が確認出来た。経皮的接合性に対しては, 軽度な接着状態であったため, 経皮端子皮下部に6ケの穴を有する円板を設けることにより, 接合性を高めることが出来た。現在まで既に, 外シャントに1例, CAPDカテーテルに1例の各臨床応用を行っており, 良好な成績を得ている。
  • 吉山 直樹, 千田 佳子, 秋葉 隆, 飯野 靖彦, 丸茂 文昭, 青木 秀希, 秦 美治
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1097-1100
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    HApは, 異物拒絶反応をおこさずに皮膚や皮下組織と緊密な接合を形成するbioactiveな無機材料(Bioceramics)の一種である。既に我々はHAp経皮端子のイヌおよびヒトでの経験について報告してきた。今回は, イヌでの感染比較実験と長期のCAPDモデル実験, およびヒトでのCAPD臨床成績を報告する。従来の腹膜カテーテル単独とこれにHAp経皮端子を組み合わせたものをイヌに植え込み比較した実験の結果, 感染頻度には両群間に差がないが, downgrowthは, カテのみの例に著明に観察された。イヌに対するCAPDは, HAp経皮端子の利用によって, これまで8カ月間実施可能であった。糖尿病性腎症の腎不全患者に, HAp端子を使用したCAPDを実施し, すでに17カ月順調に経過している。HApは, CAPD治療における感染防止の点で評価されるのみならず, 生体適合性のよい無機材料として, 今後広く医療分野での応用が期待される。
  • 武本 佳昭, 松由 武久, 北村 たかね, 岸本 武利, 前川 正信, 阿久津 哲造
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1101-1106
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工透析を施行する際のブラッドアクセスとして人工血管及び外シャントチューブ等が用いられているが、現在十分な抗血栓性を有する人工材料は開発されていない。本研究では宿主血管内皮細胞の非凝固性を利用して人工血管に血管内皮細胞を播種したハイブリッド型シャントチューブの血vitro modelの開発を目的とした。開発したモデルは材料表面にコラーゲンとデルマタン硫酸との複合体ゲルを形成させて内皮細胞の単層充填組織を再構成するものである。この人工基底膜を用いることにより血管内皮細胞はコラーゲンゲル単独の場合よりも迅速に接着増殖し、数日で敷石状モルフォロジーを形成した。また、この血管内皮細胞を血小板と接触させた場合には、ごく軽度しか血小板が粘着しなかった。宿主細胞の抗血栓性を有するハイブリッド型シャントチューブのin vitro modelが完成できた。
  • 長谷 川寛, 森川 みどり, 都築 徹哉, 藤城 敏高, 水野 雅夫, 小川 正, 川島 司郎, 船橋 直樹
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1107-1110
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    C1はC1q, C1r, C1sの3成分が結合した高分子結合体であり, C1が活性化されるとClINHはC1r-C1s-C1 INH複合体を形成してclassicalpathway活性化の進行を抑制している。C1の活性化をより適確に把握するためにこれらのC1関連諸因子を測定した。Cuprophan及びEVA膜によるC1活性化は, 血液が充填され, 膜と血液が接触した直後に起こり, 15分ないし30分後まで持続すると考えられた。PMMA及びPolysulphone膜に関しては, 今回のdataからはC1の活性化は少ないと考えられた。いずれの膜においても透析開始後15~30分を経過した時点で, C1亜成分及びC1 INHが増加しており, 血液と膜との接触の結果, 第1次の補体の活性化が起こり, その後, さらに2次的な急性反応が生体に生じる事が示唆された。こうした急性反応が長期に渡る慢性透析でくり返されるとするならば, 透析アミロイドーシスなどの合併症の成因へもつながる事と考えられた。
  • 内藤 秀宗
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1111
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 宮崎 哲夫, 内藤 秀宗, 長坂 肇, 高島 征助, 高木 俊昭, 赤須 弘幸, 犬飼 雄一
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1112-1115
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    各種透析膜の中空糸膜内表面および中空糸微細構造内の付着蛋白について、抽出溶媒を変えて解析した。
    生食液の混合比率を変えた、DMF,DMSO混合溶媒を使用する事により、中空糸微細構造内の付着蛋白が抽出可能となった。
    付着状態は膜により異なり、EVAL膜は、膜表面にアルブミンが多く存在し、フィブリノーゲンは少なかった。逆にセルロース膜やPMMA膜は表面にフイブリノーゲンが多く存在した。したがって、EVALの抗血栓性は、微細構造内の蛋白によるのではなく、膜表面にアルブミンを中心とした蛋白層が形成されることによるのであろう。
  • 内藤 秀宗, 宮崎 哲夫, 長坂 肇, 高島 征助, 窪津 彰, 高木 俊昭, 赤須 弘幸, 犬飼 雄一
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1116-1119
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析使用前後のEVAL膜およびPMMA膜を用いて、中空糸の微細構造と膜表面に形成される蛋白付着層の関連について検討した。
    電顕観察および光顕観察の結果より、EVAL膜とPMMA膜は類似の微細構造を示したが蛋白付着の挙動が異なった。優れた抗血栓性を有するEVAL膜は、アルブミン付着と併せて、フィブリン付着が少ない点を今回、確認した。
  • 小早川 裕之, 新里 高弘, 高井 一郎, 藤田 芳郎, 森田 博之, 前田 憲志
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1120-1123
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々は, 関節痛を訴える長期透析患者36人に対し, Asahi PAN20CX2を用いたpush/pull HDFを6回施行し, 80.6%の患者で関節痛の著明な改善を認めた。一方, 同じhemodiafilterを用いて, 関節痛を訴える長期透析患者11人に対して, HDを6回施行したが, 関節痛の改善は認められなかった。次に, PAN20CX2を用いたpush/pull HDFとHDをそれぞれ10人の患者に施行し, 第1回目の治療におけるβ2-MG(M. W. 11800), lysozyme(M. W. 14500), prolactin(M. W. 22000), α1-microglobulin(M. W. 27000), α1-acid glycoprotein(M. W. 40000)の除去率を測定した。この結果, 同一物質の除去率はpush/pull HDFにおいて有意に高値であり, push/pull HDFとHDの除去率の差は分子量が大きくなるほど増大した。分子量が大きくなるにしたがい, 物質除去に対するconvective transportの寄与が大きくなると考えられる。
  • 辰口 俊秀, 酒井 清孝
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1124-1127
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    β2-microglobulin(以下β2-MG)は濾過で除去するのが好ましいが、通常の透析治療で除去できれば、安価で操作が煩雑とならずに透析患者を治療することが可能となる。拡散だけでどこまでβ2-MGの除去が可能か、新しく開発されたハイフラクッス透析膜を用いて検討を行った。放射性同位元素で標識したβ2-MGを中空糸透析膜一本に充填して一定時間透析を行い、中空糸内部の残存溶質濃度を測定し溶質透過係数を求めた。得られた溶質透過係数よりdiffusive clearanceを算出したところ、酢酸セルロースを膜素材とするCT-190GAは拡散だけで十分なclearanceが得られることがわかった。逆濾過がβ2-MGの溶質移動に及ぼす影響を検討するため、並流および向流で操作したときのmyoglobinのclearanceを測定した。並流と向流でclearanceはほぼ同じ値を示し、中分子量物質の除去においては逆濾過は溶質の移動にほとんど影響していないことがわかった。
  • 横田 和彦, 小谷 野武, 酒井 清孝, 田村 真紀夫
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1128-1131
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膜蒸留法は疎水性多孔質膜を用いた相変化を伴う新しい分離技術である。我々は膜蒸留法による血液からの除水について研究を進めてきた。膜面近傍における分極層の発達は蒸気圧差の低下につながり、膜蒸留法においては蒸気圧差を駆動力とするために、特に粘度の大きい血液系においては透過流束に対して阻害因子となる。本法では、PTFE膜を用いた膜蒸留法で、エチレングリコール水溶液、牛血液からの除水実験を行い、温度分極層および濃度分極層の解析を試みた。エチレングリコール水溶液―水系実験において膜面濃度解析に限外濾過理論の導入が有効であることが示された。膜面濃度は流動状態と蒸気圧差に依存することが示された。牛血液―水系実験において膜面濃度を求めた。エチレングリコール水溶液系の透過抵抗と蒸気圧降下の関係より血液の蒸気圧降下を求めた。
  • 峰島 三千男
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1132
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 熊野 和雄, 南部 正人, 小山 誠, 草刈 修一, 吉田 一成, 酒井 糾, 山口 定市, 山本 卓也, 錦戸 條二, 金子 守正, 須磨 ...
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1133-1136
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    膜の大孔径化を施した2種類のcupra膜を用いてin vitro, in vivo実験を行ないβ2Mの除去能及び除去のメカニズムについて検討を行った。用いた膜はSP及びUP膜でin vitro測定でのscは各々0.83、0.61、Pmは7.5、3.0×10-5cm/secであった。臨床実験ではSP膜モジュールとしては膜面積1.0、1.5m2、UP膜では1整5、2.1m2のものを用いた。β2Mのクリアランス(30分値)は各々17.9、26.5、25.8、18.2ml/min、β2Mの除去量は162、280、112、259mgと平均膜孔径、膜面積が大きい程、β2Mの除去能は優れていた。又、これらの2種類の膜では総除去量の60~80%が拡散により除去されており、濾過より拡散の寄与が大きかった。以上の結果より、cupra膜では膜の大孔径化を図る事によりβ2MのSCのみでなくPm値をより向上させる事ができ、拡散により大量のβ2Mを除去する事が可能となった。
  • 森田 浩智, 榊原 巨規, 佐々木 正富, 柏木 延好, 松本 優, 稲葉 章, 斉藤 明
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1137-1140
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    再生セルロース膜の製膜条件の改良により、その大孔径化について検討した。その結果得られた膜はβ2MGのふるい係数を0.5から0.8の間で調製が可能となり、特にUFRを11.5、13.7ml/mmHg hr m2と低く抑えたまま、β2MGのふるい係数を0.53, 0.64と高めに設定でき臨床上の有意性が示された。またこれらの膜のβ2MGに関する総括物質移動係数は11.7から18.0μm/minと高値を示し、QB=200ml/min、QD=500ml/min、膜面積1.2m2の時のクリアランスはそれぞれ12.9ml/min, 20.0ml/minと高く、拡散による十分な除去の可能性が示された。膜構造解析において、電界放射型走査電子顕微鏡写真(X90000)の画像解析により得られた膜表面のポアサイズは平均103Åであった。
  • 水口 潤, 斎藤 明, 内藤 秀宗, 広畑 衛
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1141-1144
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来のEVAL-D膜を細径化、薄膜化することにより改良されたEVAL-D5膜が試作されたので、その臨床評価を行なった。対象は通常のダイアライザーでは改善されない掻痒感、骨痛、貧血などの合併症を持った14症例であり、EVAL-D5膜による血液透析を3ケ月間行なった。
    掻痒感のあった3症例のうち2例は改善、1例は不変であった。骨痛のあった4症例のうち1例は消失、2例は改善、1例は不変であった。また貧血症例では7例全例でHt値の改善を認め、その増加は有意であった。一方検査成績では、血清クレアチニン値とP値の上昇が認められた。しかし総蛋白、アルブミンや脂質には有意な変化は認められなかった。またβ2-ミクログロブリン値は低下傾向を示したが、その変化は有意ではなかった。以上、EVAL-D5膜は従来のダイアライザーでは改善されない合併症に対し有用なハイパフォーマンスメンブレンであると考える。
  • 似鳥 嘉昭, 須磨 靖徳, 小早川 裕之, 新里 高弘, 前田 憲志
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1145-1149
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    PAN大孔径膜(PAN CX2)を用い、分子量、等電点の異なる各種低分子量蛋白の除去メカニズムを検討した。その結果血漿中での分子量分画曲線が得られ、cutoff point 30,000 dalton、孔半径45Åが得られた。灌流初期に蛋白の非特異的吸着が認あられたが、等電点の高いリゾチームを除き、約1時間で飽和に達し、除去は主に拡散と濾過によることが解った。各種蛋白のSCおよびPmを測定し、その値よりクリアランスを算出したところ拡散、濾過とも強い分子量依存性が確認された。臨床における治療前後の低下率もほぼ同様の分子量依存性を示し、算出したクリアランスと良い対応を示した。Convectionによる除去を有効に利用するPush and Pull HDFはin vitro実験よりのクリアランスおよびin vivoの成績から低分子量蛋白の除去において優れた療法であることが示された。
  • 岩本 均, 清水 正樹
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1150-1153
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    ハイパフォーマンスダイアライザにおける蛋白の除去メカニズムを検討するために、β2-MGの吸着がおこらないKF201-15Cを用いて、除水ゼロ透析、除水1l透析、ECUM1lの3種類の透析方法を同一患者に対して1時間、行い、排液中へのβ2-MGとアルブミンの除去量を調べた。除水ゼロ透析ではダイアライザ内で濾過現象(正濾過と逆濾過)が起こっていると思われ、β2-MGの除去は59%がこの濾過現象によるもので、41%が拡散によるものであった。除水1l透析ではβ2-MGの除去は拡散が25%、濾過が75%であった。またアルブミンは拡散による除去はほとんどなかった。以上より、蛋白の吸着がおこらないハイパフォーマンスダイアライザでは実際の透析療法の場合、β2-MGやアルブミンは主に濾過現象により除去されると思われた。
  • 竹沢 真吾
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1154
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 横山 正, 渡辺 廣行, 山脇 直邦, 宮田 征司, 小平 了二, 戸澗 一孔, 渡辺 博明
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1155-1158
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    β2-microglobulin(β2-MG)分子と強く相互作用する高分子リガンドの検索を目的として、コンピューター・グラフィック(C・G)で人のβ2-MG分子の立体構造を明らかにすると共に、高分子リガンドの簡便な検索方法としてEIA plate法を検討した。さらに、C・Gより想定した高分子リガンドの評価をEIA plate法で行なった。その結果、β2-MG分子は、その分子表面上に、疎水性アミノ酸残基、疎水性+塩基性アミノ酸残基及び酸性アミノ酸残基を多く有するドメインが存在することが、C. Gより明らかになると共に、EIA plate法で、メチル化アテロコラーゲン、スチレン~マレイン酸交互共重合体等が選定された。これらのリガンドの分子構造は、C. Gで推定したβ2-MG分子表面の構造と対応性を示した。以上より、EIA plate法は高分子リガンドの簡便な検索方法として有用であり、選定したリガンドを多孔質担体に固定することにより、β2-MGを極めて高い効率で除去出来る吸着材を作成出来ると考えられる。
  • 渡辺 廣行, 横山 正, 山脇 直邦, 宮田 征司, 小平 了二, 秋沢 忠男, 越川 昭三
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1159-1162
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    β2-microglobulin(β2-MG)を高い効率で除去出来、かつ直接血液灌流(DHP)で使用出来る吸着材を開発することを目的に、β2-MGと強く相互作用するポリスチレン~マレイン酸(PSt-MA)を2-hydroxyethyl methacrylate~diethylaminoethyl methacrylate random copolymer(PHEMA-DE)で被包化したPolymethylmethacrylate-divinylbenzene(PMMA-DVB)多孔質粒子に固定化することを試みた。その結果、PHEMA-DEで被包化したPMMA-DVB多孔質粒子をエピクロルヒドリンで活性化し、スペーサーとしてアミクオクチルアミンを導入した後、PSt-MAを吸着材1ml当り3.5mg固定した吸着材が、300mlの吸着材換算で750mgのβ2-MGを吸着した。さらに、本吸着材の血小板通過率は、血液通過後30minで85%を示し、市販のPHEMA被包化活性炭は55%を示した。以上より、本吸着材は、長期透析患者の体内に貯留しているβ2-MGを高い効率で、かつDHPにより除去する手段として有効であると考えられた。
  • 森田 博之, 新里 高弘, 藤田 芳郎, 小早川 裕之, 高井 一郎, 前田 憲志
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1163-1165
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    我々はβ2-microglobulin(β2-m)generation rateが一定である, 細胞外液からなるsingle pool modelを考え, このmodelを用いてHDF終了後の血清β2-m濃度のrebound patternからそれぞれの患者についてgeneration rateとintrinsic clearanceとを決定した。
    その結果, β2-m generation rateは患者によらず, ほぼ一定であり, β2-m intrinsic clearanceは血清β2-m濃度が高くなるほど, 低下することが明らかになった。これは血清β2-m濃度を決定する要素はgeneration rateではなく, intrinsic clearanceであることを意味している。
  • 丹羽 利充, 前田 憲志
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1166-1168
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全患者の血中に増加している蛋白結合物質は血液透析により殆ど除去されないため吸着による除去を検討した。腎不全患者血清中で98~100%アルブミンと結合している3-carboxy-4-methyl-5-propyl-2-furanpropionic acidは荷電性樹脂, 活性炭あるいは疎水性樹脂によりほとんど吸着されなかった。一方, 慢性腎不全患者血清中で約90%アルブミンと結合しているindoxyl sulfateはカチオン型樹脂, 活性炭により完全に吸着され, またアンバーライトXAD-7により比較的よく吸着された。慢性腎不全患者血清中にアルブミン結合して増加しているindoxyl sulfateはカチオン型樹脂, 活性炭により除去が可能であるが, アルブミン結合した3-carboxy-4-methyl-5-propyl-2-furanpropionic acidはカチオン型樹脂, 活性炭などにより除去されない。
  • 熊野 和雄
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1169
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • ―新手法の開発と効果―
    木野 恭子, 前田 憲秀, 衣笠 えり子, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三, 筏 義人, 岸田 晶夫, 山下 正彦, 今村 和夫
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1170-1174
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液膜間相互作用を軽減させる目的で新たに開発されたセルロース膜に対する膜改質技術の効果を検討した。セルロース膜(OC)表面に新たにポリエチレングリコール(PEG)をグラフトすることにより膜改質を施したNew Modified Cellulose膜(New MC)では、膜表面のPEG鎖の自由運動により血液と膜との間に散漫層が形成され、界面自由エネルギーの低下と血液膜間相互作用の減弱が期待される。負電位にシフトするゼータ電位を除きin vitroで測定した膜表面性状、タンパク吸着量、透析性能にはNew MC、OCで差がなかったにもかかわらず、補体消費率は前者で著減した。New MCとOC透析器を用いた臨床透析では、New MCでOCに比し補体活性化作用、hemodialysis leukocytopenia、thrombocytopenia、血小板放出因子産生の抑制が認められた。以上よりNew MCには補体活性化作用ととも血小板系に与える影響を軽減する効果があり、新しい膜改質技術により得られた散漫層の効果が確認された。
  • ―charge substancesとtransportorの検討―
    早坂 勇太郎, 小路 久敬, 酒井 良忠, 佐中 孜, 久保 和雄, 江良 和雄, 有賀 悦子, 鈴木 利昭, 寺岡 慧, 太田 和夫
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1175-1178
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    筆者らは昨年の本学会にて血液透析患者白血球の一過性減少について患者白血球膜上の荷電状態の変化より検討した結果、外体循環開始15分前後に著しく変動した成績、また荷電物質としてcreatinine, 3-indoxyl sulfateなどいわゆるuremic toxins関連物質についてもその荷電の強さを測定し, 血液透析中の患者白血球数の一過性減少に関する作用機序(仮説)についても報告した。今回はさらに白血球膜上の洗浄物質の荷電状態を検討した結果、その多くが陽イオン交換樹脂に吸着され、またセルロース系膜と比較してPMMA膜により多くの血清蛋白の吸着性がみとめられた。このためこれらの荷電物質を運搬するTranspotorとしてcreatinine(+charge)と3-indoxyl sulfate(-charge)に対するIgG, Albuminの吸着性についても検討した。
  • 武本 佳昭, 松田 武久, 岸本 武利, 前川 正信, 阿久津 哲造
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1179-1184
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    人工透析膜と血液細胞との相互作用に関する研究は少なく、また白血球や血小板の粘着機構についてはまだ明らかにされていない。そこで我々は細胞接着性蛋白質に共通の細胞接着部位として最近同定されたアミノ酸シーケンスであるRGDS(Arg-Gly-Asp-Ser)の合成ペプチドを用いて、接着性蛋白質を介在する相互作用について検討し血小板及び白血球の材料表面に於ける粘着機構を明らかにすることを本研究では目的とした。結果をまとめると、1)RGDSは接着性タンパク質を吸着した材料表面への血小板の粘着を濃度依存的に抑制した。2)また白血球の粘着に対してもRGDSは極めて顕著な抑制効果を示したが、3)PVA及びCellulose表面で補体系が活性化された場合ではRGDSは抑制効果を示さなかった。これらの事実より補体系が活性化されない場合の血小板及び白血球の粘着は接着蛋白を介するが、補体系が活性化された場合の白血球の粘着は直接活性化補体因子を介して起こると考えられる。
  • 武本 佳昭, 松田 武久, 小関 英一, 岸本 武利, 前川 正信, 阿久津 哲造
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1185-1190
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    本研究ではCa++に対する蛍光プローヴであるFura-2を用いて血小板内のCam動態から血小板の活性化を指標とする新しい人工透析膜の生体適合性評価法の開発を試みた。まず、市販の人工透析膜(Polyacrylonitrile; PAN膜, Cellulose acetate; CA膜, Cellulose; Cel膜, Ethylene-vinylaIcohol copolymer; EVAL膜)を用いミニカラムを作成し、Fura-2を封入した洗浄血小板を通過させ、その前後で血小板内Cam動態及び血小板粒度分布を測定した。カラム通過によって疎水性のPAN及びCA膜で粒度分布が著明に大きくなったが、親水性のEVAL及びCel膜では変化しなかった。細胞質内遊離Ca++濃度はEVAL膜では全く変化しなかったが、PAN及びCA膜では顕著な上昇が観測された。Cel膜は逆に見掛け上のCa++濃度が減少した。以上よりEVAL>Cel>PAN=CA膜の順で生体適合性が良く、血小板内遊Ca++動態を指標とする人工透析膜の新しい生体適合性評価法が確立できた。
  • 荘野 忠泰, 稲垣 王子, 竹中 義昭, 長坂 肇, 平林 俊明, 森頴 太郎, 井上 聖士, 藤田 嘉一, 申 曽株, 宮本 孝
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1191-1194
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    8名の慢性透析患者に対し, Hemophan膜を素材とする同一モジュールの透析器において三種類の滅菌(EOG滅菌, 高圧蒸気滅菌, γ線滅菌)を行ない, これらの透析器を使用する血液透析を施行し, 生体適合性, 除水能および小分子物質除去能について検討を行なった。総白血球数, 血小板数, 血小板第4因子, β-トロンボグロブリン, 活性化凝固時間の変動には, 滅菌法による差はみられなかった。C3aは, 15分値においていずれの滅菌法でも上昇したが, 高圧蒸気滅菌で若干高値を示した。透析15分後の静脈側第XII因子は, 高圧蒸気滅菌において軽度上昇がみられた。除水率はγ線滅菌で低値を示したが, 尿素窒素およびクレアチニンのクリアランスは滅菌法による差を認めなかった。以上の結果より, 高圧蒸気滅菌, γ線滅菌は, ごく軽度ではあるが膜構造になんらかの変化を与え, 膜性能に若干の差を生じせしめたと考えられた。
  • 秋沢 忠男
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1195
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 高井 一郎, 藤田 芳郎, 新里 高弘, 小早川 裕之, 森田 博之, 前田 憲志
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1196-1199
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    Swan-Ganz catheterおよびヘマトクリット連続測定装置を用いて, 透析中の急激な血圧低下の際の循環血液量の変化と循環動態について検討した。急激な血圧低下出現時には, 心拍出量は急激に減少し, 平均肺動脈圧および右心房圧も急激な低下を示した。これは静脈還流量の減少によると考えられる。しかし, 血圧低下時には循環血液量の変化は認められなかった。したがって, 静脈還流量の減少は, 循環血液の分布の変化, おそらく静脈プールの増大が原因であると考えられる。
  • 藤田 芳郎, 高井 一郎, 新里 高弘, 小早川 裕之, 森田 博之, 前田 憲志
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1200-1202
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    dialysis-induced hypotensionを頻回に起こす長期透析患者にL-carnitineを投与し, その有効性を検討した。4週間に4回以上のdialysis-induced hypotensionを起こす18人の長期透析患者にL-carnitineを1日1200mg, 12週間投与し, 投薬開始時, 投薬開始4, 8および12週後の透析前収縮期血圧, 拡張期血圧, 血漿L-carnitine濃度, 体重, 心胸郭比(CTR)を測定した。そして, 4週間ごとにその4週間中に生じたdialysis-induced hypotensionの発生頻度を測定した。血漿L-carnitine濃度は, 投薬開始4週以降に著明に上昇した。dialysis-induced hypotensionの発生頻度は, 投薬開始4週以降に有意に減少した。体重およびCTRについては投薬期間中有意な変化はなかった。以上より, L-carnitine投与はdialysis-induced hypotensionの発生頻度を減少させると考えられる。
  • 金森 直明, 飯塚 一秀, 衣笠 えり子, 関口 高, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1203-1206
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    低分子ヘパリン(LH)の血液透析(HD)用抗凝固薬としての有用性を明らかにする目的で、その効果を従来のヘパリン(OH)と比較検討した。OH、LHを使用したHD中のセライト活性化凝固時間(CCT)、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長は、同じ抗Xa活性(aXa)下ではLHでOHに比し有意に軽度で、同力価のOHとLHを使用した場合にはLHでaXaは有意に上昇した。透析器の圧損失を指標にヘパリン必要量を検討すると、LHでOHに比し少量投与で透析が可能であった。LHのモニター法として新たに開発したXa凝固時間(XCT)はaXaと高い相関性を有した。LHの単回静注のみでHDを施行し、aXa、XCT、APTT、LHの半減期、回路内残血・凝血を検討した結果、回路内残血・凝血は軽度で、LHの単回静注のみによるHDが可能であった。この時、LHの半減期は約150分でHD終了時にもaXa、XCTはHD前に比し高値を維持した。以上よりLHは少量、単回投与で抗凝固作用を発揮、かつAPTT、CCTなどの延長作用は軽度であることが示された。
  • 坂下 恵一郎, 筒井 敏彦, 山本 尚哉, 伊藤 晃, 山崎 親雄, 増子 和郎, 渡辺 有三
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1207-1210
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    r-HuEPOは、血液透析患者の貧血に対して極めて有効であり、ほとんどの患者に対して、Htを30%以上に上昇させることができる。Htの上昇により、透析効率が変化するか否かを検討した。透析液側より求めたクリアランスは、Cr, UA及びipで有意に低下し、尿素では低下傾向を示した。Ht上昇前後で測定した透析1回当りの溶質除去量は、ipのみ有意な減少を示し、UN, Cr及びUAは有意差がなかった(Ht上昇, 平均7.9%)。除去率の比較では、平均11.3%のHtの差があるが、UN, Cr, UA及びiPの全てに有意差はなかった。透析前値は、UN, Na, K及びCaは全期間通じて有意な変化はないが、Cr, UA及びipで有意に上昇した時期を認めた。r-HuEPO投与により、血小板数は有意に増加した。凝固能検査は、有意な変動を認めなかった。残血・凝固は39例中5例(12.8%)に認めたが、ヘパリンの増量等で防止できた。血小板凝集能や血小板放出蛋白は、投与群と非投与群との間に差はなかった。
  • ―血漿交換と血液透析との併用―
    高木 豊己, 桜井 謙次, 小川 洋史, 斎藤 明
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1211-1214
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    On-line SAC血漿交換療法により慢性腎不全と悪性関節リウマチ(MRA)を合併した症例に対し, 血漿交換と血液透析を同一システムで連続治療することが可能となった。週3回の血液透析と週1回の血漿交換合計週4回の体外循環が必要であった。44才のMRA患者の週1回の血漿交換と血液透析をSACシステム内の脱塩のための透析を利用して1回の体外循環として継続的に行った。治療時間ではSACは2時間, 透析は4時間の合計6時間治療し, 血中電解質の変化は通常の透析と同程度であり, 小分子量物質の除去率ではSACは血液濾過透析と比較して若干勝っていた。免疫グロブリンにおけるSACと2重濾過(DF)の除去率を比較したところ, 血漿交換の処理量に700mlの差があり, DFの方が高い除去率を示した。今後, SLE, MRAに腎不全を合併した症例に血漿交換と血液透析の併用が考えられる。本システムは血漿交換と血液透析を連続的に行い, また患者に対する負担も軽減し, かつ安全に実施できた。
  • 松井 則明
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1215
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 稲垣 王子, 荘野 忠泰, 竹中 義昭, 長坂 肇, 平林 俊明, 森頴 太郎, 井上 聖士, 藤田 嘉一, 岩崎 徹, 申 曽沫
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1216-1219
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    43名の透析患者を対象として, Ca濃度3.5, 3.0, 2.5mEq/lの透析液を使用し, 各1回の血液透析を施行し, 透析前後の血漿Ca値の変動を測定した。各Ca濃度の透析液を連続使用した場合に, 維持される血漿Caレベルは, 透析前後の血漿Ca変化がゼロになる状態(プラトー値)と仮定し, 透析前血漿Ca値と透析前後の変化値との間の単回帰直線よりプラトー値を求めた。Ca濃度3.5mEq/l液におけるプラトー値は, 5.15±0.33, 3.0mEq/lの液では4.93±0.32, 2.5mEq/lの液では4.33±0.28であり, それぞれの濃度の液でそれぞれ一定の値を示した。透析前後の血漿Ca変化量を, その症例の血液pH, アルブミン濃度変化,透析時間, 血流量, 透析膜性能で補正することにより, 透析前Ca値と透析前後のCa変化値との間の相関性が飛躍的に上昇した。これらの因子を考慮したプラトー値は信頼性も高く, 透析液至適Ca濃度を考える場合, 有用な指標になりうると考えられた。
  • ―炭酸Ca投与時の至適Ca濃度について―
    中山 文義, 奥山 寛, 大友 正浩, 児島 弘臣, 衣笠 えり子, 関口 高, 高橋 健, 秋沢 忠男, 北岡 建樹, 越川 昭三
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1220-1224
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    P吸着剤に炭酸Ca製剤(CC)を使用している透析患者5名を対象に, Ca2.0, 2.5mEq/l, 重炭酸25, 30mEq/l及び市販のCa3.5, 重炭酸30mEq/lの計5種の透析液をcrossoverで使用し, CC, 活性型ビタミンD剤(D)投与量, 透析前電解質, 血液ガス, PTH, 1.25 (OH)2D濃度などを観察, CC使用下の至適透析液Ca濃度を検討した。Ca2.0mEq/lの透析液のみで透析によるCaの負バランスが得られ, 低Ca透析液使用によりCC, Dの増量が可能であった。経過中一過性にn, HS-PTHが上昇したが, CC, Dの増量で前値に復し, 症例によってはD増量に伴う1.25-(OH)2-D濃度の正常化とHS-PTHの低下が認められた。Ca濃度を比較的高値に保てばCa2.0mEq/lの透析液も安全に使用可能でこの場合過度のアルカローシスに伴うCa++低下を防止するため重炭酸25mEq/lの透析液が適切であった。以上の成績から, 症例, 合併症, 時期によりCa2.0, 2.5mEq/lを使い分ける必要はあるが, これら低Ca透析液は十分なCCとDを投与する上で有用と思われた。
  • 松井 則明, 後藤 健, 上野 信一
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1225-1227
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    出血傾向を有する透析患者に対しクエン酸Na液の回路内注入と無Ca透析液の使用により無Ca透析を試みた。46例に対し563回無Ca透析を施行し, 高度のダイアライザー凝固例は3回で, 出血傾向の増悪したものは皆無であった。またクエン酸Na液, CaCl2液の注入ミスが計12回あったが, いずれもCaイオンチェックで発見され, 大事にはいたらなかった。クエン酸過剰負荷によるCa代謝や過度のアルカローシスが懸念されたが, 透析後2時間にはすでにクエン酸は透析前値に復し, 4時間後のCaイオン, 血液pH, N末端PTHなどはいずれも許容範囲内であった。以上より実施上の困難さはあるものの無Ca透析は高度の出血傾向を有する透析患者には非常にすぐれた局所抗凝固法であると考えられる。
  • 山海 嘉之, 太田 道男
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1228-1231
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    従来より開発してきた光波利用によるヘモグロビン濃度計測装置および体液系モデルを基に, 透析治療時の初期循環血液量の推定法を開発した。本ヘモグロビン濃度計測装置は体外循環血液チューブを発光部及び受光部からなる測定部に挟み, 発光部からの光が受光部に達するまでに血液中でどの程度減衰したかを測定するものであり, 本体液系モデルは簡易3コンパートメントモデルとして構成されている。
    本推定法は透析治療時に体外循環している血液に光をあてるだけで初期循環血液量の同定を行なうことができ, 従来にない全く新しい計測法である。これにより, 治療時の循環血液量の経時的変化を相対的変化としてだけではなく絶対量の変化として捉えることが可能となる。
  • ―血液透析器のin vivo評価法として
    秋葉 隆, 芝本 隆, 山田 敏生, 後 藤健, 飯野 靖彦, 吉山 直樹, 丸茂 文昭, 名倉 賢治
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1232-1235
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    In vivoにおけるデキストラン(D)分子量分画の測定が血液透析器の中分子量領域の除去能の性能評価法として有用か否か検討した。D40を慢性腎炎患者に130mg/kg静注後、60分の蓄尿と中間点採血を行った。また透析患者に同量のD40投与後、透析を行い透析器入口、出口血液、濾液を採取した。除蛋白後、Dを冷エタノールで沈析しTSK-G3000SWカラムで分離、屈折率検出器にて分子量別D濃度を求め、分子量クリアランス曲線を描いた。分子量70000から3000のマーカーは保持容量10.5mlから20mlに出現した。添加試験では回収率は平均86%で濃度0.25-2mg/l及び保持容量12-18mlで直線性が得られた。ヒト腎では, Dの分子量クリアランス曲線は保持容量12mlより立ち上がり17mlで最大に達した。Cuprophane透析器と異なりハイパーフォーマンスダイアライザーでは保持容量13mlより立ち上がりヒト腎に近いものの傾きの小さい曲線が得られた。本法は血液透析器のin vivo性能評価法として有用である。
  • 二瓶 宏
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1236
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
  • 梅田 優, 海本 浩一, 鶴崎 清之, 泉暢 英, 前川 正信, 石神 達三
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1237-1239
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    透析患者のAl蓄積症の除去に用いられているDFO(Desferrioxamine)の、赤血球Al(RBC-Al)及び貧血に対する影響を検討した。高Al血症を呈する維持血液透析患者16例にDFO 1gを1回のみ血液透析(HD)終了時に経静脈的に投与し、血清Al(s-Al), RBC-Al, 血中ヘモグロビン濃度(Hb)を、そのうち10例については4ケ月間経時的に観察した。s-AlはDFO投与2日後に上昇し7日後下降した。RBC-Alはこの期間中有意な変動がみられず、1ケ月後に下降した。Hbは、1ケ月後軽度上昇し、4ケ月後に投与前値のレベルに下降した。DFO投与によるs-Al, RBC-Al, Hbの変動は互いに独立したものであったことから、DFO投与によるAlの除去と貧血の改善は、RBC-Alの直接除去によるものではないと考えられた。
  • 宍戸 寛治, 雨宮 均, 小林 力, 中島 豊, 吉村 吾志夫, 佐藤 昌志, 秋沢 忠男, 出浦 照国, 越川 昭三
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1240-1243
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    血液透析(HD)中の血漿β2-microglobulin(β2-M)の上昇は, 血漿浸透圧(posm)の低下によるリンパ球表面からのβ2-M放出に起因するとのShaldonらの仮説の妥当性を臨床的に検討した。安定期透析患者に, 通常の透析液を用いたHD1, 高Na透析液を用いたHD2, およびHD3(sham dialysis)を施行し, 各種低分子タンパク濃度, Posm, Htなどを経時的に測定した。PosmはED1では有意に低下し, HD2では一定に保持されたが, β2-MはHD1, HD2とも有意に上昇, HD3ではPosm, β2-Mとも不変であった。しかし, HD中のposm, β2-M, およびmyoglobin変化率の間には有意の相関が得られた。以上より, HD中のβ2-M上昇にはposm変化が一部関与する可能性は否定できないが, リンパ球表面からのちβ2-M放出や膜の生体適合性の関与は否定的であり, むしろβ2-Mのプール間の移動が主因と思われた。一方, RBP, α1-acid glycoProtein, α1-ATにHD中の有意な変動はみられなかった。これらでは細胞膜の透過性が名β2-Mに比して低く, 血管内外の移動が遅いためと考えられた。
  • 上田 正博, 出口 雅子, 竹村 周平, 笠松 美宏, 柳田 国雄, 福田 亙, 岡本 雅之, 小野 寺秀記, 近藤 元治, 四方 統男
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1244-1247
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    13例の慢性血液透析患者に対してセルロース・アセテート膜(CA膜), キュプラ・アンモニウム・レーヨン膜(Cu膜)ならびにエチレンビニルアルコール膜(EVA膜)の3種類の透析膜を用いて血液透析を行い, 末梢血液検査, 補体価および補体分解産物(C4d, iC3b, Bb)の変動を測定した。末梢白血球数は15分後にCA, Cu膜で著明に減少した。一方, C3a, C5aはEVA膜に比し, CA, Cu膜で有意に上昇した。C4dはいずれの膜でも変化を認めなかった。iC3bは15分後にcu膜では有意な上昇を, CA, EVA膜では上昇傾向を示した。Bbは15分後にはいずれの膜でも有意に上昇し, さらにCA, Cu膜では透析終了時までBbの値は増加し続けた。このことからいずれの膜もalternative pathwayを活性活し, 特にCA, Cu膜では透析終了時にはBbが増加していることがわかつた。生体内におけるBbの生物学的活性は不明であるが, 透析患者へ与える影響などは今後検討してゆかねばならない。
  • ―Pharmacokineticsと透析性に関して―
    森田 博之, 新里 高弘, 高井 一郎, 小早川 裕之, 藤田 芳郎, 前田 憲志
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1248-1251
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    当院及び関連施設で血液透析を施行している慢性腎不全患者422名中17例に悪性腫瘍の合併が認められその内には化学療法の適応と考えられる症例も存在した。今回我々は抗腫瘍スペクトラムが広い、テガフールとウラシルの配合剤に着目し本剤の至適投与法を検討する際に第一歩となり得る本剤のpharmacokineticsと透析性に関する予備的な検討を行った。その結果、テガフール並びにその代謝産物である5FU共にわずかながらCarrier proteinとしてのアルブミンの影響を受けるものの、ダイアライザーの選択、血流量の設定等適切な透析条件を設定することにより1回の血液透析により血中での充分な除去が可能であると思われた。
  • 藤城 敏高, 森川 みどり, 山下 浩, 都築 徹哉, 長谷川 寛, 水野 雅夫, 小川 正, 川島 司郎
    1989 年 18 巻 3 号 p. 1252-1255
    発行日: 1989/06/15
    公開日: 2011/10/07
    ジャーナル フリー
    慢性腎不全非透析患者49名と透析患者49名の血中ミオグロビン濃度(Mb)を測定し, グァニジノ化合物, β2-microglobulin(β2-MG)及び一般生化学検査値との関係につき検討した。更に蛋白透過性血液濾過透析(PPHDF)がMb濃度に与える影響も観察した。その結果, 非透析患者群でも透析患者群でもMbはcreatine phosphokinase (CPK)と最も強く相関した。MbはCRNとも相関を認めたが, CPKとの相関ほど強くはなく, β2-MG, methylguanidine (MG)とは相関がなかった。PPHDFによりMbは排液中に除去され, その血中濃度は低下したが, 次のPPHDFまでに上昇した。また, 長期的にもPPHDFを開始した時のMb濃度は経過と共に増加する傾向をみせた。以上より腎不全での血中Mb濃度の上昇には腎からの排泄障害のみならず筋の代謝障害の関与が示唆された。
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