抄録
進行癌患者に対してその血清中の免疫抑制因子の効率的除去のたあに従来の二倍量を処理するLarge-volume DFPP(LV-DFPP)を施行し患者免疫能の回復効果についてLV-DFPP施行例5例と従来のDFPP施行例とを比較検討した。DFPP前後で得られた患者血清の健常者末梢血リンパ球のNK抑制活性は、従来のDFPPに比較してLV-DFPPでは2倍以上の有意な抑制率の低下を認めた。DFPP前後で得られた患者血清の健常者末梢血リンパ球のPHA抑制活性は、従来のDFPPでは改善傾向にとどまったのに対しLV-DFPPでは有意差(P<0.05)をもって抑制活性の減弱を認めた。さらにLV-DFPPではCEA, IAPなどの免疫抑制物質は従来のDFPPより効率的に除去され、ツ反はLV-DFPPではほぼ全例改善あるいは増強しさらにLV-DFPPでは高度な白血球減少の正常復帰や腫瘍の著明な縮小を認め、DFPPでは見られなかった症例を経験した。従ってLV-DFPPは従来のDFPPより患者免疫能の回復に明らかに有効であると考えられた。