1990 年 19 巻 1 号 p. 147-150
左心補助人工心臓(LVAD)の自動制御の制御目標とするため, 補助下の左室機能(Emax)を, 血液ポンプの駆動状況の解析から推定することを試みた。方法は, 制御対象としての左室を可変弾性モデルとした場合, その逆数はキャパシタンスに相当することから, LVADをcopulsation駆動して大動脈弁が開放されている時間区間内に駆動空気圧-拍出流量を入出力とする伝達関数を求め, 心血管系を2次系にモデル化した場合のキャパシタンスを推定するものである。急性動物実験の結果, 推定するキャパシタンスには動脈やカニューレの成分も含まれているため, Emaxの絶対値そのものを求めるのは困難であったものの, 心拍数の変動が少なく, 頻脈でない場合の推定値は左室圧容積関係から得たEmaxと相関がみられ, 心機能の経過観察には有用であり, 自動制御への利用の可能性が示唆された。