人工臓器
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定常流および拍動流完全右心バイパスの肺循環におよぼす影響に関する実験的研究及び臨床的検討
四津 良平田口 真一小野 口勝久芳賀 佳之志水 秀行申 範圭相馬 康宏竹内 成之川田 光三井上 正
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1990 年 19 巻 1 号 p. 190-195

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抄録

肺循環における定常流が肺循環動態, 肺機能, 及び肺水腫の発生に及ぼす影響に関しては, これまで明らかにされていない。雑種犬を用いて定常流の肺循環, 拍動流の体循環モデルを作成した。右心房, 右心室に脱血カニュレを挿入, 肺動脈主幹部を結紮した。送血カニュレを肺動脈結紮部末梢に挿入した。これらを遠心ポンプに(定常流群), 又は拍動型ポンプに(拍動流群)接続した。体循環は自然心の自然拍動の左心室によって維持された。【結果】a. 肺血管外水分量の変動:定常流群ではバイパス前値と比べて有意な増加がみられ, その最高値は2.00±0.35であった。一方拍動流群では有意な変動はみられなかった。b. 血液ガスの変動:両群間で有意差はなかった。c. PAP, LAP, CO, 肺毛細血管静水圧PmV:両群間には有意差はなかった。d. 膠質浸透圧(COP)の変動:両群間で有意差はなかった。e. 光学顕微鏡像:どの標本も肺胞水腫はみられなかったが, 定常流群は血管周囲間質浮腫及びリンパ管の拡張が著明であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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