人工臓器
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心不全に対する補助循環法の選択と心移植へのbridge useとしての補助人工心臓の役割
岡田 昌義久保田 真毅今井 雅尚辻 義彦吉田 正人太田 稔明小沢 修一中村 和夫
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1990 年 19 巻 1 号 p. 222-225

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抄録

近年、重症心疾患に対しても手術適応が拡大され積極的に外科治療が行われている。しかしこれらの症例の中には術前並びに術後を通じて心原性ショックや高度の心不全のため、何らかの補助循環法を実施しない限り死の転帰をとるケースが存在する。著者らは現在までにかかる症例に対して補助循環法を実施したが、その数は188例に達した。188症例中169例(89.9%)にIABPが実施されたが、他の15例ではIABPに加えてV-A bypassが、残りの4例には最終的に補助人工心臓が適用された。その結果、IABPが実施された169例中心原性ショック46例を含め全体として69.2%を救命した。一方、IABP+V-A bypassを併用した15例(虚血性心疾患8、重症連合弁膜症7)中7例(46.7%)で離脱がえられたが、結局長期生存をえたのは2例であった。さらに、補助人工心臓を適用した4例中2例を術後5日、7日目に離脱しえたが、結局MOFのため失った。とにかく、補助循環中は心補助のみならず、他の重要臓器への機能不全防止にも留意すべきことが重要であった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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