人工臓器
Online ISSN : 1883-6097
Print ISSN : 0300-0818
ISSN-L : 0300-0818
移植心不全に対する補助循環
中谷 武嗣B. RADOVANCEVICO.H. FRAZIER
著者情報
ジャーナル フリー

1990 年 19 巻 1 号 p. 218-221

詳細
抄録

心臓移植後の移植心不全に対する治療は、多くの困難な問題を抱えている。我々は種々の原因の重症移植心不全を経験したが、左心不全の5例に対しIABPを、3例に対し動脈内軸流血液ポンプ(Hemopump)を適用した。また右心不全の2例に対し遠心ポンプによる右心補助を行なった。IABP施行4例は適用早期に死亡したが、1例は免疫療法の併用により心機能の改善をみ、1年後の現在元気に過している。Hemopumpを適用した3例は全例移植心機能が回復し、Hemopumpより離脱した。うち1例は1年5か月後元気に過している。右心補助の2例はともに右心機能が改善し、1例は1年6か月後経過良好である。移植心不全においても、移植心機能の回復まで、また拒絶反応による場合では免疫療法が効果を表わすまで、強力な循環補助手段を用い全身循環の維持を行なうことにより救命が可能である。また免疫抑制剤使用下においては、外科的侵襲が少なくかつ有効な循環補助効果をもつ補助循環法が望ましい。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本人工臓器学会
前の記事 次の記事
feedback
Top