1990 年 19 巻 1 号 p. 243-246
補助心臓の臨床試験が多数施行されるにつれて, LVADによる左房バイパス時にみられる左室内血液停滞, 血栓形成の問題が生じてきた。その防止法として左房バイパスに左室バイパスを加えた左房―左室コンビネーションバイパスの有用性を動物実験にて確認したので報告する。
雑種成犬10頭を用い, 左房下行大動脈バイパス下に, 各種サイズの左室脱血カニュラを心尖より挿入し, Y字形に左房カニュラと合流させた。両者の間に逆流阻止弁を介在させた。使用したポンプ系は内径7.5mm, チャンバー容積15mlのdouble chambered altemate pumping deviceとその自動制御器である。本実験系では, 左室脱血カニュラの内径は5mm(左房脱血カニュラの断面積の50%以上)あれば, 左室内に血流が停滞して血栓を発生する危険は避けられ, かつ左室後負荷軽減効果も期待できると考える。