1990 年 19 巻 1 号 p. 239-242
LVAD施行時における最適な抗凝固療法を確立するために, heparinに代わりうる抗凝固剤として, 現在既に市販されており, 臨床使用可能なもののうち, 血小板凝集抑制作用, 血管拡張作用を有するthromboxane A2合成酵素阻害剤(OKY-046)と, 抗トロンビン, 抗プラスミン作用等を有するprotease inhibitor (Nafamostat mesilate, FUT-175)の二剤について, 血液凝固線溶系に及ぼす影響を対比検討し, 抗凝固剤としての評価を行った。FUT-175は, その抗トロンビン作用, 抗プラズミン作用により, 内因系血液凝固線溶系の賦活化を最小限に抑制することが可能であり, 血小板凝集抑制作用を有するのみで, 血中fibrinogen, α2-plasmin inhibitorの著しい低下減少を招くOKY-046に比して, より有用な抗凝固剤であると考えられた。適切な抗凝固療法を行なうことは, 出血, 血栓症のみならず, 重篤な臓器障害の発生を防止するうえにも重要なことと考えている。