人工臓器
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左心補助人工心臓の臨床経験
岡田 行功那須 通寛西内 素庄村 東洋
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1990 年 19 巻 1 号 p. 29-32

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抄録

開心術後の重篤な低心拍出量症候群を来した4例に対して左心補助人工心臓(LVAD)を適応し1例の長期生存が得られた。年齢は74~82才の男性2例, 女性2例で, 疾患は1例がNYHAIV度のMR+TR, 3例は急性心筋梗塞に合併した心室中隔破裂(VSR)であった。LVADは東大式血液ポンプ(日本ゼオンsac型40ml)を補助人工心臓用駆動装置C型(アイシン精機)で駆動した。駆動期間は6~13日間, 第2~第3病日よりON-OFF testを行い, その結果4例共に離脱できた。最初の2例は離脱手術後に多臓器不全を来して死亡した。第3, 4例では離脱手術における手術侵襲を軽減する目的で右側左房に20mm Gore-texを儲して脱血カニューレを挿入固定した。この方法は強力な陰圧をかけても空気を吸い込むことはなく, 離脱手術操作も容易であった。3例目はIABP BaloonからのガスもれによるGas Emboliにより死亡したが, 4例目は順調に経過して退院した。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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