人工臓器
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術後各種補助循環を施行した小児開心術例の検討
二宮 淳一田中 茂夫浅野 哲雄佐々木 建志加治 正弘山内 紫武井 裕日置 正文庄司 佑
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1990 年 19 巻 1 号 p. 33-37

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抄録

小児開心術後に何らかの機械的心補助を行った11症例につき臨床的に検討した。対象は年齢が2ヶ月~9歳で基礎疾患は複雑心奇形等の術後体外循環離脱困難例であった。補助循環の方法はIABP:3例, EABP:5例, V-A bypass:4例, LVAD:1例であった。補助手段からの離脱は73%(8/11)に成功したが, 病院死亡率は45%(5/11)であった。遠隔死亡は0%であり, かつ生存例のNYHA機能分類では全例I度又はII度とほぼ満足すべき成績であった。補助手段別では, 拍動流体外循環後にEABPを施行した5例中4例の生存を得た。しかし長時間の補助循環を施行せざるを得なかった群では, V-A bypassとIABPを行った2例を救命したのみであった。
以上より小児開心術後の補助循環として, EABPは有用な方法と考えられたが, 最重症例の救命率向上のためには, 有効な幼小児用装置の開発等の今後の検討が必要である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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