人工臓器
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大動脈弁位Omnicarbon弁の臨床使用経験―とくに術後早期および遠隔期における弁開放角度について
渡辺 祝安木村 希望山田 修竹田 晴男数井 暉久安倍 十三夫小松 作蔵
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1990 年 19 巻 1 号 p. 348-351

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抄録

大動脈弁位に用いたOmnicarbon(O-C)弁のX線シネ撮影による弁開放角(opening angle, OA)の測定を術後早期および遠隔期に行い、比較検討し知見を得たので報告する。1985年3月より1988年3月末までに施行したO-C弁による大動脈弁置換術(AVR)85症例のうち、X線シネ撮影条件が良好で正確にOAを測定し得た30症例を対象とした。術後早期では、最大開放角(maximum opening angle, MOA)は71.5±7.7度であったが、60度以下の弁開放不全を13%に認め、そのOAは55.8±1.9度であった。また、OA55.2±3.4度でdiscの異常開放運動を73%に認めた。遠隔期では、50%の症例で術後早期に観察された異常開放運動を生じたOAで新たに弁開放制限が生じ、MOAは61.7±8.7度と術後早期に比し有意(P<0.0005)に減少した。O-C弁のdiscの開放制限と異常開放運動を生じたOAは非常に近似しており、これらがO-C弁の構造的要因に起因して発生していることが強く示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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