1990 年 19 巻 1 号 p. 352-355
我々はより生理的な血行動態・血流パターンでの弁機能の評価を目的として, 一心拍当りの弁開閉動態に基づくin-vitroでの水力学的弁機能測定上の利点をin-vivoに応用し, 人工弁機能の術中評価を試みた. 大動脈弁置換10症例を対象とし, 人工心肺離脱後血行動態の安定した時点で, 頻拍負荷又は容量負荷を行った.左室圧, 大動脈圧及び大動脈血流量を記録し, シグナルプロセッサーを用いて, 心周期・人工弁開放時間・平均圧較差・有効弁口面積・左室最高圧・心拍出量等を一心拍毎に算出した. 有効弁口面積はGorlinの式に従い求めた. 負荷中連続的に一心拍毎に測定することにより, 人工弁で規定される有効弁口面積一心拍出量及び平均圧較差一心拍出量関係という人工弁機能曲線を得ることができた. 特に合併症もなく安全に短時間に測定が可能で, 臨床的に有用な人工弁機能評価法であると考えられた.