人工臓器
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人工弁置換術後急性期ならびに慢性期における人工弁機能不全
永田 昌久小林 正治野垣 英逸塩井 健介三枝 裕幸加藤 眞司朴 一彦浅井 忠彦上床 邦彦間瀬 武則土岡 弘通
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1990 年 19 巻 1 号 p. 356-358

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抄録

機械弁であるBjork-Shiley弁の急性期ならびに慢性期における人工弁機能不全症例4例に文献的考察を加えて報告した。急性期機能不全は外因性ともいわれ, 乳頭筋, 左室後壁など心臓自体の障害, 血栓, 縫合糸など異物による障害などによるdiscの運動障害が原因とされている。著者らの報告した2例も血栓および縫合糸が原因と考えられた。しかし血流の微妙な異常による機能的な原因も否定できず今後の検討が必要である。慢性期機能不全は血栓, 過剰肉芽などによるものがあるが, ここで取り上げたのは内因性のものであり, この人工弁はconvexo-concave型であった。その原因は疲労性の破損であり, 著者らの報告した2例のうち1例は救命できたが, 1例は失った。その成否は発症から手術までの時間にかかっており, したがって, この型の弁保有者の厳重な監視が必要である。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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