抄録
単極双極可変型ペースメーカーを用いた42症例(AAI 18例、VVI 11例、DDD 13例)を対象とし、術後8.6±6.4ケ月の遠隔期に、心房(31例)心室(24例)の各チャンネル別に、単極、双極ペーシング時の筋電位抑制(MPI)について検討した。MPI誘発試験により、単極ペーシングでは、心房、心室両チャンネルの全例で0.5mV以上4.0mV未満の筋電位を検出した。その結果、単極ペーシング時のMPI発生率は0.5mVの最高感度では心房、心室ともに100%、感度1.3mVではそれぞれ87%、83%、感度2.5mVでは16%、8%、感度4.0mVではいずれも0%であった。感度を低下させP波、R波感知を維持しながらMPIを防止できたのは、心房、心室チャンネルのそれぞれ29%、91%であった。双極ーシングでは、心房チャンネルの1例(3%)で0.5mVの最高感度でMPIを認めたのみであった。心内心電位検出閾値には単極、双極ペーシング間に差を認めず、また双極ペーシングのMPI防止効果は明らかであった。