人工臓器
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膜型肺体外循環における補体活性
桜田 徹栗林 良正関根 智之相田 弘秋関 啓二後藤 由和柴田 芳樹目黒 昌斉藤 智佐藤 繁喜阿部 忠昭
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1990 年 19 巻 1 号 p. 455-458

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抄録

膜型肺(MAXIMA)による体外循環症例8例において補体活性値を経時的に測定し, 気泡型肺の5例と比較して, 酸素加装置の違いによる補体活性に対する影響について検討した。両群ともCH50は体外循環中, 後を通して低下を示し, Cl-エラスターゼ・インヒビターの変化は少なかった。C4aは体外循環開始から有意の増加を示し, その後も増加傾向にあり, 膜型肺群で気泡型肺群に比し高値をとる時点もあったが, C3aは両群とも体外循環中著増を示し, その後低下した。白血球数, 顆粒球数は体外循環60分後には減少傾向をみせ, 特に膜型肺群の顆粒球は有意に減少した。以上より膜型肺, 気泡型肺による体外循環ではclassical pathwayとalternative pathwayの両経路を介する補体活性化が起こり, それぞれの肺における経路優位性は認められなかった。補体活性化は長時間の膜型肺例でも短時間気泡型肺例との比較で大きな差異はなく, 膜型肺が補体活性化においてより生理的であるものと推測された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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