抄録
我々の開発した左心補助人工心臓は、流入量に自動対応する自動制御であるから、これを現在の人工心肺のローラーポンプの代わりに使用して、静脈帰来量に追随した自動制御が可能かどうかテストした。生理的な静脈帰来量の変動を得るためには、超低体温法を利用した。犬を体外循環下に15度前後に冷却し、ついで加温したが、このポンプ系は冷却とともに減少する静脈帰来量に忠実に追随し、15度で最低50ml/minにも自動的に対応し、加温に際しても正常拍出量まで自動的に増加した。此のメカニズムを模式循環で再現するために、ポンプへの流入量を変数とする模式循環回路を考案して実際に再現した。これらの結果から、此のポンプ系による体外循環では、生理的な静脈帰来量によって自動的に決まる体外循環を維持することが証明された。