抄録
ヘパリン結合膜型人工肺と回路(CARMEDA, SWEDEN)による長期ECLA(extracorporeal lung assist, 体外式肺補助)の血液適合性と安全性を, ヤギの頸静脈から脱血し頸静脈へ送血するV-Vバイパスで調べた。ヤギ18頭を, ヘパリン非結合の人工肺と回路群(I群, 6頭), ヘパリン結合の人工肺と回路を再滅菌(エチレンオキサイドガス滅菌)処理した群(II群, 6頭), ヘパリン結合非再滅菌群(III群, 6頭)に分けた。II, III群ではACTを120~130秒に維持した。バイパス血流量(ml/分/kg)とバイパス期間(日)の平均は, I群46.0, 6.7, II群36.5, 7.8, III群41.3, 7.8であった。ヘパリン使用量の平均はI群26, II群17, III群14単位/kg/時間で, II, III群はI群に比べ有意に少なく, III群はII群より少なかった。血小板-血液凝固因子, ECLA回路血栓形成等は三群間に大きい差はなかった。ヘパリン結合人工肺は安全性と血液適合性に優れている。しかし, エチレンオキサイドガスで再滅菌するとヘパリン活性が若干低下する。