人工臓器
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遠心ポンプ(Bio-pump)を用いた開心術症例の検討
乾 清重島貫 隆夫折田 博之深沢 学廣岡 茂樹鷲尾 正彦
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1990 年 19 巻 1 号 p. 87-90

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抄録
Bio-pumpは遠心力を応用したポンプであり、血球成分や凝固系の破壊変性が少ない利点を有している。我々は体外循環時間が比較的長くなる症例に本ポンプを用いその有用性にっいて検討を行った。1987年10月より当科にて施行した開心術26例を対象に、体外循環中の遊離ヘモグロビンと血小板数を経時的に測定した。Bio-pump使用症例では遊離ヘモグロビン増加率が体表面積と有意な正相関を示し、ポンプ流量の増加に伴った溶血増加が認められたが、ローラーポンプでは一定の傾向を示さなかった。体表面積1.6m2以下の症例での単位時間当たり遊離ヘモグロビン増加量はBio-pump使用症例で0.17±0.15であったのに対しローラーポンプ使用症例では0.39±0.10mg/dl/minとBio-pump使用症例で有意に少なかった。血小板については両群間で差は見られずBio-pumpの有用性は確認できなかった。しかし赤血球破壊減少の面では効果があり、特に体表面積1.6m2以下の症例で有用であった。
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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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