低分子量物質の除去は, 膜性能のほかにも透析液および血液側の流動状態により大きく左右される。そこで, 市販ダイアライザーの透析液側流動状態をX線CTを用いて観察したところ, 多くは中心部にチャンネリングやデッドスペースを持っており, 有効膜面積の減少をきたしていた。充填率の異なるダイアライザーを試作し, 小分子量物質ならびに低分子タンパク質の除去能を比較検討しところ, 充填率の低いダイアライザーではチャンネリングが多く,透析効率が低い。また, この結果をもとにダイアライザー中心部へPS膜を, その周囲にEVAL-D5膜の配置を試みた。この試作ダイアライザーではPS膜の比率が多くなるほど小分子量物質の除去能が上昇する傾向にある。これはPS膜が湿潤により伸張することなく, 良好な充填状態が維持されるためと考えられる。また, 低分子タンパク質はPSに吸着するため, やはりPSの割合が増えるにつれて除去能は上昇する。