人工臓器
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体外循環時における病態モデルの開発:培養内皮細胞を用いたIn Vitro Model
武本 佳昭松田 武久岸本 武利前川 正信阿久津 哲造
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1990 年 19 巻 2 号 p. 809-813

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抄録

本研究では(1) 血管内皮細胞における細胞内Caイオン動態を指標として(2) 種々の活性化因子による細胞の刺激及び障害過程を明らかにすることにより、(3) 人工透析施行時のin vitroにおける病態モデルの開発を目的とした。人口透析施行時に産生される活性化因子として凝固系因子(kallikrein, bradykinin. factor Xa, thrombin)、補体系因子(補体活性化血清)及び活性化された白血球より産生されるリンホカイン(interleukin-1)を用いて培養内皮細胞へ添加した場合の細胞内Caイオン濃度を測定した。結果をまとめると、1) 全ての活性化因子により細胞内Caイオン濃度が上昇した。2) 活性化因子の種類により細胞内Caイオン濃度上昇の変化の仕方が著明に異なった。3) 補体活性化血清の場合には著明に細胞内Caイオン濃度が上昇していると考えられた。以上より、ここで開発した病態モデルはin vivoにおける病態特に内皮細胞の刺激障害過程を模擬することが可能と考えられた。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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