人工臓器
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多発性硬化症(MS)の治療における免疫吸着法(IAP)の安全性, 有用性に関する臨床的研究
細川 進一
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1990 年 19 巻 2 号 p. 937-938

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抄録

多発性硬化症(MS)の患者20例を, フェニールアラニンでリガントされた免疫吸着カラムを用いて治療し, その有用性と安全性を検討した。一次filterで分離された血漿をこの免疫吸着筒を通して病因物質や関連物質を除去した。IAP療法は, 第1週目及び第2週目には各週2回ずつ合計4回実施し, その後,有効性には2週間に第1回の割合で6ケ月間を1クールとして実施した。1回のIAP治療において血漿の総処理量は2であった。IAP治療前後で, 筋力(日常の歩行・起立・坐位・横臥位)や, 末梢の知覚障害, 排尿障害, 視力障害のような臨床症状の改善について調べた。その結果, 筋力においては, IAA治療後20例の患者のうち, すべての患者に改善を認めた。IAP施行中,血圧低下・嘔吐・悪心・発熱・腹通・じんましん・血尿・胸痛等の副作用は一例も認めなかった。IAP治療中, あるいは1クール終了後, IAP治療後, 副作用は全例で全く認められなかった。すなわち非常に安全であることがわかった。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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